わいせつ行為での教員処分1.5倍と過去最多 文部省

わいせつ行為での教員処分1.5倍と過去最多 文部省
2000.12.26 asahi.com

 昨年度1年間に懲戒や訓告など処分を受けた公立の小、中、高校などの教員は4936人にのぼった、と文部省は26日、調査結果を発表した。わいせつ行為による処分は、前年度の約1.5倍、115人に達し、過去最多を更新した。一方、学校内のセクシュアル・ハラスメント(性的いやがらせ)を防止する要綱などが自治体の教育委員会に整備されつつあるが、子どもに防止策の内容を説明したのは6県、3指定都市の教委にとどまっていた。

 文部省によると、昨年度は懲戒処分が2038人(免職92人、停職154人、減給206人、戒告1586人)で、訓告などが2872人、諭旨免職が26人。総数は前年度に比べ2400人増えた。広島県で勤務時間中の組合活動をしたり、その調査を拒んだりしたとして、2409人が戒告や厳重注意などの処分を受けたために急増した。

 処分理由は、交通事故1433人(前年度1371人)▽体罰387人(383人)▽わいせつ行為115人(77人)▽日の丸、君が代の取り扱い96人(161人)――などの順。

 わいせつ行為による処分の内訳は、懲戒免職が56人、停職が24人、減給が12人など。全体のうち56人は勤務先の児童や生徒に対しての行為で、他校生に対してが19人にのぼるなど、子どもを相手にした行為が目立った。文部省が児童生徒へのわいせつ行為や体罰などには特に厳しい対応を求めたこともあり、子どもにわいせつな行為をした教員の大半は懲戒処分にされた。

 わいせつ事件には至らないまでも相手に不快感を与える性的な言動、いわゆるセクハラを防止する要綱や規定は、今年度中には都道府県と12指定都市すべての教委に整備される見込みだ。だが、17の自治体教委は子どもは保護の対象にしていない。

 島根県教委がパンフレットを作って児童生徒全員に配布したり、福島県教委がすべての保護者に向けた公報で防止策を説明したりしていたが、子どもや親に説明した自治体は少数だった。また、防止のため教員に講習会などを行っているのは34自治体教委、全教員を対象にしているのは8自治体教委に限られた。

 一方、精神的な病気による休職者が1924人と、10年前の倍近くまで増えたのも特徴的だ。ほかの病気が横ばい状態を続けており、病気休職した教員のうち精神性の疾患が43%に達した。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする