予備校講師の司法書士、偽名で2度も再受験

予備校講師の司法書士、偽名で2度も再受験
2009年9月18日22時51分 読売新聞

 福岡県大牟田市の司法書士の男性(37)が、親族の名前を使い、2度にわたって司法書士試験を受験していたことがわかった。

 ◆試験の傾向さぐるため?2週間の業務停止命令◆

 男性は、司法書士を目指す人を対象にした予備校で講師を務めており、「生徒に試験の傾向などを伝えたかった」と話している。福岡法務局は「社会的信頼を損なった」として、今月7日付で、男性に2週間の業務停止を命じる処分を行った。

 司法書士試験は年に1回行われ、7月頃に筆記試験、10月頃に口述試験がある。筆記試験では主に、売買契約、登記、会社清算などに関する問題が出題される。

 男性によると、男性は筆記試験を2007年7月に義弟の名前で受験し、08年7月には父親の名前で受けた。いずれも合格したが、口述試験は受けていなかった。義弟と父親からは、名前を使うことについて了承を得ていたという。

 08年の筆記試験合格後、口述試験を受けに来ないことを不審に思った同法務局と県司法書士会が、同11月頃から調査を開始。男性から聞き取りなどを行った結果、偽名での受験が発覚した。男性は「司法書士でありながら受験する理由を、逐一説明するのが煩わしいので、偽名を使った」と説明したという。

 受験生は試験終了後、問題用紙を持ち帰ることができ、後日、法務省も問題をホームページで公開している。しかし、男性は読売新聞に対し、「実際に試験を受けることで、自分が受験した時の感覚を思い出し、知っておくべき内容、知らなくてもいい内容を見極めたかった」と話している。

 同法務局は「資格を有する者が受験するのは試験の趣旨に反する。偽名を用いたことで、司法書士の品位も害した」としている。

 予備校側は男性に口頭で厳重注意し、男性が法務局から処分を受けたことなどを説明する張り紙を校内に掲示した。男性は引き続き、講義を担当している。

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