差別文書郵送 校長「許し難い事件」 容疑者の高校 全校集会、生徒に説明

差別文書郵送 校長「許し難い事件」 容疑者の高校 全校集会、生徒に説明
2010年2月22日15時7分配信 西日本新聞

 福岡県久留米市の高校の生徒宅に被差別部落を中傷する脅迫文書を送り付けたとして、脅迫などの疑いで、高校教諭吉田威(たけし)容疑者(37)=同市国分町=が逮捕された事件で、吉田容疑者の勤務先の高校は22日朝、全校集会を開き事件について説明した。午後には保護者への説明会も開く予定。

 校長などによると、この日は期末試験が予定されていたが「事件による生徒たちの不安を考え、少しでも早く説明したい」と試験を中止し、急きょ生徒集会を開催した。

 校長(59)は「今回の事件は部落差別を助長する事件であり、許し難い」とした上で、「人権を守る大切さを教え、生徒を守る立場の教諭が(差別文書を送った容疑で)逮捕され、みなさんに心配をかけて申し訳ない」と謝罪した。生徒たちは真剣な表情で静かに聞き入っていたという。

 また、21日午後には約50人の全教職員を集めて今後の対応を協議。校長は「失墜した教育現場の信頼を回復していかなければならない」と呼びかけた。吉田容疑者が昨年夏ごろから、校長や同僚の教諭に対して、複数の教諭を中傷し辞めさせるよう求める脅迫文書を少なくとも6通送り付け、その行為を認めたことも説明したという。

 差別文書事件をめぐっては、吉田容疑者と被害者(38)が昨年春ごろ、被害者の子どもの生徒指導をめぐり口論になったことが背景の一つとみられている。

 事件を知らされた同僚の男性教諭は、取材に対して「逮捕容疑が事実として、差別文書で脅迫するという形でうっぷんを晴らすのは許されることではない」と語気を強めた。その上で「そこまで追い詰められていたのだとすれば、もっと周囲がケアしてあげるべきだった」と自らを責めるように語った。

=2010/02/22付 西日本新聞夕刊=

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