小林陣営違法献金:北教組幹部起訴 「何の説明もない」本部に不満の声 /北海道
2010年3月23日11時33分配信 毎日新聞
◇学校現場に混乱も
民主党の小林千代美衆院議員(道5区)陣営への違法献金事件で、幹部が起訴された北海道教職員組合(北教組)。組合員からは「説明責任を果たしていない」などと、北教組本部を批判する声が上がっている。一方、事件をきっかけに、日の丸・君が代問題をはじめ、組合活動に対する批判が広がっており、学校現場への混乱が心配されている。【千々部一好、金子淳、坂井友子】
「何の説明もない。まるで何事もなかったかのようで、このままでは消化不良だ」。札幌市内の小学校教諭の男性組合員(51)は執行部の対応に不満をぶつける。逮捕後、組合の事件についての説明文書を読んだという石狩管内の小学校の50代の男性教諭は「内容を読むと謝罪でもないし、趣旨がはっきりしなかった。起訴はないと信じていただけに、今回の地検の決定は残念」と話す。
北教組は「不当な組織弾圧と言わざるを得ない」との声明を、逮捕された今月1日に出した。だが、なぜ不当なのかという具体的説明はない。
数年前に組合を脱退した40代の札幌市内の中学校の男性教諭は「間違っていないなら堂々と説明すべきだった。子供に正しいことを教える立場にある教員として、あってはならない姿勢だと思う」と批判する。
一方、北教組幹部の逮捕後、組合活動全般への批判が急浮上している。自民党・道民会議は道議会で追及を繰り返し、道教委はその対応に追われた。
道教委は卒業・入学式での日の丸掲揚や君が代斉唱の実施、組合活動の実態調査を約束した。さらに、来年度から組合活動が学校運営に影響がないかどうか、保護者からの通報制度の導入も表明。組合活動への規制強化ととれる対策を矢継ぎ早に決めた。
後志管内の小学校教諭の男性組合員(51)は「幹部の逮捕・起訴は衝撃だった。でも、それ以上、不安なのは政治的な動き。このときとばかり、北教組の活動を締め付けることに不安が大きい」と漏らす。道教委の通知を受けて、音楽の時間で卒業式に向けて君が代斉唱を練習したか、児童がしっかり声に出して歌ったかなどの点検が校長に求められ、教育現場がギスギスする場面も起きているという。
日高管内の小学校教諭の男性組合員(55)は「事件を機に、保護者の教員を見る目が変わってくるだろう」と不安視している。
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■北教組違法献金事件の経緯■
【2009年】
8月30日 小林千代美氏が衆院選道5区で自民の町村信孝氏を破り2回目の当選
10月15日 道警が小林陣営の合同選対委員長代行だった山本広和・連合札幌会長(当時)を公選法(運動員買収)違反容疑で逮捕
11月 6日 札幌地検が山本容疑者を公選法違反罪で札幌地裁に起訴
【2010年】
1月22日 札幌地検は山本被告の懲役2年を求刑。山本被告は起訴内容を一部否認
2月12日 札幌地裁が山本被告に懲役2年、執行猶予5年の有罪判決
15日 札幌地検が小林陣営に違法な資金を提供したとして、北教組本部を政治資金規正法違反容疑で家宅捜索
24日 山本被告が札幌高裁に控訴
3月 1日 札幌地検が北教組幹部ら4人を政治資金規正法違反容疑で逮捕
8日 札幌地検が北教組本部を家宅捜索
12日 札幌地検が北教組幹部ら4人の拘置延長を札幌地裁に申請。札幌地裁が延長を決定
13日 札幌地検が東京都内で小林氏を参考人聴取
3月23日朝刊