柔道事故防止へ「被害者の会」立ち上げへ
2010年3月25日9時0分配信 カナロコ
柔道の部活動などで死傷した生徒の家族らが27日、「全国柔道事故被害者の会(仮称)」を立ち上げる。柔道は中学、高校の部活動の中で死者数が最も多いとする研究結果を踏まえ、同様のケースに遭った家族の救援や再発防止を訴えていくという。
発起人は横浜市立奈良中学校(同市青葉区)の元柔道部員の父・小林泰彦さん(63)と、滋賀県愛荘町立中学校の元柔道部員の伯父・村川義弘さん(48)。
小林さんの三男は2004年、顧問に技を掛けられた後、脳に後遺症を負った。傷害容疑で書類送検された顧問の不起訴処分が確定し、現在は民事訴訟で係争中。村川さんのおいは昨年7月に顧問に投げられた後に死亡。今年2月に顧問や学校長を滋賀県警に告訴している。
村川さんはおいを失った後、小林さんから連絡を受けて情報交換したといい「どこに頼っていいか分からなかったが資料をもらうなど交流して道筋が開けた。われわれが被害家族の“駆け込み寺”のような存在になれれば」と話す。
愛知教育大学の内田良講師の論文によると、1983年から昨年までの27年間で中学・高校の柔道に絡んで死亡したのは108人。また、過去5年間の10万人換算での死亡率は、ほかのスポーツに比べて突出しているという。
小林さんは「被害家族の輪を広げるとともに、柔道関係者に二度と同じ犠牲者を出さないよう、安全な柔道の確立を訴えたい」と話す。
27日に都内で開かれる発足式には埼玉、長野県や大阪府からも家族が参加予定。6月に内田講師やスポーツドクターらのシンポジウムも開く。今月27日には同会ホームページ(http://www.judojiko.net)も開設する。