肝移植前の患者に寄付金要求 東京医大、計1200万円

肝移植前の患者に寄付金要求 東京医大、計1200万円
2010年5月2日0時30分 朝日新聞

 東京医科大は1日、記者会見を開き、同大八王子医療センターで生体肝移植を受ける患者らに移植前に寄付を求め、9人から約1200万円を受け取っていたことを明らかにした。応じないと適切な治療を受けられないのではないかという不安を患者や家族に与えかねず、同大は「慎重さに欠けていた」と不適切だったことを認めた。

 同大によると、2005年10月〜08年1月、第5外科の教授と准教授=いずれも退職=が、手術前の患者に「移植医療の振興のため」として寄付を求め、9人が65万〜300万円を払った。別の2人は術後に5万9千円と9千円を払った。

 寄付金は大学の会計に入れられた後、第5外科が管理した。公的医療保険が利かない高額な薬の購入や、手術を指導した田中紘一・元京大教授への謝礼に使ったという。

 寄付を求められた患者の家族は「手術直前になぜ、と思ったが、手術してほしかったので振り込もうと思った」と話す。

 同大の臼井正彦学長は「寄付を求める時期に問題があった。今後はやめるよう指導したい」と話した。

 また、保険適用の治療と保険外の治療との併用は「混合診療」として、原則、禁じられているが、同大は「保険外の薬の費用は研究費から支払っていたが、足りなくなり、(ためてあった)寄付金を充てた」と説明し、混合診療には当たらないとしている。

 第5外科での腎臓移植でも、05年11月〜08年10月に患者7人から計190万円を受け取ったが、寄付を求めた時期は分からないという。

 八王子医療センターの生体肝移植をめぐっては、移植を受けた52人中20人が手術後1年以内に死亡しており、同大は手術や術後管理が適切だったかどうか調べている。5月中に報告書をまとめ、遺族に説明して公表する方針。(北林晃治、熊井洋美)

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