北教組違法献金:幹部有罪 謎残る労組マネー 会見でも説明なく /北海道
2010年6月15日11時20分配信 毎日新聞
北海道教職員組合(北教組)による小林千代美衆院議員(道5区)陣営への不正献金事件の裁判は、14日の委員長代理、長田秀樹被告(50)らへの有罪判決で1審判決が出そろい、このまま確定する見通しだ。捜査段階での全面対決姿勢から一転、北教組側が起訴内容を認めたため裁判は短期間で終わったが「労組マネー」の管理実態など不明な点も残された。
札幌地裁の判決言い渡しは、わずか5分程度。北教組が当初「不当弾圧だ」と冤罪(えんざい)を主張した事件の終結は、あっけなかった。長田被告は口を真一文字に結び、表情を変えず裁判長の言葉を聞いた。
公判で謝罪と反省の弁を重ねた長田被告だが、北教組の資金管理や、不明になった会計帳簿の行方など、多くの謎が残る。判決後、事件発覚から初めて応じた記者会見でも、疑問に答える説明はなかった。
献金の原資だとする「対策費」について、長田被告は「北教組の各部に一定の対策費があり、合計すれば2000万円程度になる。監査委員会で支出は適正に処理している」と説明するが、北教組が毎年の定期大会で提出している予算案に、この費目は出てこない。組織の裏金や、道教委に返還することにしている主任手当からの支出も「一切ない」と否定したが、具体的な証拠は示さなかった。
検察側が「所在不明」と指摘した過去6年分の会計帳簿についても会見で質問が集中したが、公判と同様に「必要な帳簿は提出した」と繰り返すだけ。「検察が提出してほしいものとの間には齟齬(そご)がある。検察側は我々が提出した以上のものを求めている」と強弁した。
札幌地裁判決は、長田被告が公判で「組織を挙げて再発防止に取り組む」と誓ったことを踏まえて執行猶予を付けた。今後、再発防止委員会が設置される予定だが「労組マネー」の不透明さを残した幕引きに、信頼回復の道筋は見えてこない。【久野華代】
6月15日朝刊