教員OBフル回転山教組表だった集票控える

教員OBフル回転山教組表だった集票控える
2010年6月23日 読売新聞

 県内の重要な選挙で集票マシンぶりを発揮してきた山梨県教職員組合(山教組)が、24日公示の参院選では表だった活動を控えている。代わって元公立小中学校長などの退職教員が、3選を目指す民主党の輿石東参院議員会長(74)への支持拡大に向けフル回転している。一方で若手教員の間には選挙へのかかわりを避けたがる空気も生まれている。

 4月上旬、学校での組合員代表者である山教組分会長の会議。山教組本部の幹部は「組合としては、参院選について現職教員には働きかけない。代わりにOBが行う」と明言した。

 分会長の40歳代の男性中学校教諭は説明する。「現職教員はOBを訪問するように指示が来た。OB宅で(支持者の名簿となる)個票集めなどを頼まれる仕組み。教員は上下関係が厳しく、従わざるを得ない」

 別の分会の甲府市の40歳代の男性小学校教諭は、4月下旬の会議で分会長から「(参院選で)山教組は動かないが、20票集めてOBに郵送してほしい」と言われた。その後、輿石氏後援会から4人分の紹介欄が載った後援会入会カード10枚が送られてきたという。

 2004年の参院選では、山教組幹部が政治資金収支報告書に教員らの寄付を記載しなかったとして、罰金の略式命令を受けた。昨夏の衆院選を巡っては、北海道教職員組合の違法献金事件も起き、「教員の選挙活動」に対する世間の視線は厳しい。法的に政治的行為の制限がないOBが司令塔となることで、法に触れることなく組織としての政治への影響力を温存する、との動きにも映る。

 だが、山教組幹部はそうした見方に反論する。「今までと変わらず、(選挙活動で)やれることは続けるし、やれないことは絶対やらない。それだけだ」

 小中学校教諭の組織率が100%近い山教組は、「教育環境を良くするには、政治の場での発言力が必要」という一貫した思想を持ち続けてきた。強力な組織力でかつて短期間で選挙を勝利に導いたことから「山教組の3日選挙」という言葉まで生んだ。

 しかし、甲府市の小学校男性教諭は「国会は理念、理想は置いてけぼりで、権力や選挙を意識してばかり。教員が政治に利用されているとしか見えない」と語り、今回の選挙では初めて「白票」での投票も考えている。

 山教組の元幹部はつぶやいた。「最近の若い先生たちは、選挙にかかわりたがらなくなった。山教組内部の候補者は、輿石氏が最後になるのではないか」

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