創造学園大:申請時の書類改ざん指摘 文科省、「堀越」に大学新設認めず /群馬

創造学園大:申請時の書類改ざん指摘 文科省、「堀越」に大学新設認めず /群馬
毎日新聞 2010年10月29日(金)11時58分配信

 ◇会計士の署名押印偽造
 創造学園大学などを運営している学校法人「堀越学園」(高崎市、堀越哲二理事長)に対し、文部科学省は28日、同大学の設置認可申請時に提出された財務関係書類が改ざんされていたとして、新たな大学や学部設置を16年度まで認めない処分を発表した。同省は「正しい財務状況なら、認可に至らなかった」との見解を示した。同法人は昨年1月に教職員への給与遅配が明らかになるなど、経営問題が表面化しているが、大学設立時から財務内容が脆弱(ぜいじゃく)だったことが明らかになった。【増田勝彦】
 文科省によると、改ざんされた財務関係書類は03年6月に提出された。02年度末の負債は総額9億200万円だったにもかかわらず、2億7300万円と記載されていた。このうち返済期間が1年超の固定負債は3億100万円から3400万円に、1年以内に処理する流動負債は6億100万円から2億3900万円にそれぞれ大幅に減額されていた。監査報告書の公認会計士の署名・押印は偽造されていた。
 財務書類の虚偽記載疑惑は09年、給料遅配問題が表面化後に浮上。同省は堀越学園に第三者委員会を設置して調査するよう求めたが、同学園は今年7月、「虚偽申請は事実だが、当時の理事長や財務担当理事は死亡しているため、改ざんや偽造に至った正確な事実及び責任の所在は明確にできなかった」と報告していた。
 同省はこの報告を受けて今月20日、大学設置・学校法人審議会学校法人分科会に諮り、処分を決めたという。
 日本私立学校振興・共済事業団は既に、財務書類の虚偽報告があったとして08、09年度の補助金を不交付としている。
 ◇理事長がHPにコメントを発表
 文科省の処分を受けて、堀越学園の堀越哲二理事長は創造学園大のホームページ(HP)に「私達の決意」と題するコメントを発表。「心からおわび申し上げます。今後は襟を正し一層、学園建て直しのため精進する。今回の沙汰(さた)に対して、学生を守り、育て、社会に有為な人材として送り出す責務を果たす。学園の存亡に関(かか)わる重要な時期でもあり、新入生の募集にも一層、努力する」などと記している。
 同学園は同大学のほかに、高崎市内で専門学校2校と幼稚園2園も運営。保護者有志で作る「(堀越学園)あしたの会」のメンバーの一人は「保護者には理事の名前さえ知らされていない。学園の運営を透明化するとともに、経営状況を説明してほしい」と話した。【増田勝彦】
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 ■視点
 ◇経営陣は説明責任果たせ
 創造学園大設立時の財務関係書類改ざん問題を調査している文科省は、正規の財務状況では大学設置を認可しなかったとの見解を示した。大学の存立そのものが危ぶまれる結果になっており、経営陣には説明責任が求められる。
 学校法人の会計では、入学金や学生が前納した授業料など翌年度の支出にあてるものは「前受け金」として計上し、流動負債として処理するよう私立学校法に基づく基準で定められている。
 しかし、堀越学園は前身の高崎芸術短大の前納授業料など3億3000万円の前受け金を当年度の収入として計上するなど、実際には6億100万円の流動負債を2億3900万円に減額させた。また3億100万円あった固定負債についても、金融機関からの借入金などを計上せずに3400万円に改ざんしたとされる。
 同学園は02年度末、所有地を売却するなどして流動資産を15億円に増やしたが、正しい負債額を差し引くと、大学開設に準備しなければならない自己資金や、資産に対する負債の割合も基準に達していなかった。
 教職員への給料遅配、特待生への授業料請求など一連の問題の原点がここにある。【増田勝彦】

10月29日朝刊

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