不正受給?:飯田の専修学校・ゆめみらいICT、委託金を 地検が強制捜査 /長野
毎日新聞 2010年11月19日(金)13時9分配信
飯田市松尾明の専修学校「飯田ゆめみらいICTカレッジ」が、国の委託金を不正に受給した疑いが強まったとして、長野地検は18日、詐欺容疑で同校や同校の理事長、担当職員の自宅などを家宅捜索した。理事長など関係者数人から事情を聴いているとみられる。
文部科学省などによると、同校は06〜09年度に、介護福祉士の資格取得や団塊世代の起業、再就労支援などの計7事業を委託され、計約5435万円を受給していた。長野地検は、同校が事業の実態と合わない報告書を提出し、委託金の一部をだまし取った疑いがあるとみて、強制捜査に踏み切った。
同校では午前7時50分ごろ、地検の係官ら十数人が乗ったワゴン車など3台が到着。押収書類を運ぶ段ボール箱などを次々に運び込んだ。坂巻道弘校長は「事件については全く分からない。問題があるのなら正さなければならない」と話すにとどまった。高森町に住む同校の生徒は「突然のことで驚いた。介護の資格を取りに通っているが、これからの授業は大丈夫でしょうか」と不安を隠せない様子だった。
同校は、4年制大学がなかった飯田市が職業専門教育の拠点として誘致。北海道や秋田県などに11校の専修学校を運営する学校法人「コア学園」(本部・東京都世田谷区)が、87年に開校した。同市は約5000平方メートルの土地を無償貸与し、校舎建設費のほとんどを補助金(約1億9700万円)で賄うなど、設立に深くかかわった。
飯田市によると、開校当時は入学者が100人を超えていたが、少子化などで94年ごろからは減少し、08年度の入学は10人。累積赤字の厳しい経営が続いていたという。
飯田市は現在、補助金などの直接支援は行っていない。しかし牧野光朗市長が同校の理事を務めているほか、市内の小中学校のパソコン管理などの業務(年間約2200万円)も委託している。市企画部の北原重敏部長は「現段階では何も申し上げられない」と困惑の表情を浮かべた。【小田中大、仲村隆】
11月19日朝刊