個人情報紛失も非公表 処分訓告や注意止まり 県教委
河北新報 2010年12月22日(水)6時13分配信
青森県内の小中高校教諭による体罰などが非公表になっていた問題で、県教委は教諭らが2007年4月~ことし8月、学校の敷地内で車両火災を起こしたり、児童の個人情報が入ったUSBメモリーを紛失したりした不祥事も公表していなかったことが21日、分かった。定例教育委員会にも報告されなかった。
河北新報社が県情報公開条例に基づき入手した文書によると、07年4月~10年8月の主な非公表事案は表の通り。県教委は悪質性や経緯、処分の前例などを総合的に勘案し、戒告以上の懲戒処分とせず、原則非公表となる訓告や厳重注意処分にとどめたという。
県教委から開示された文書などによると、県内の小学校校長は09年6月26日、たばこの不始末で、学校敷地内に駐車していた自家用車の内部を焼く火災を発生させた。
小学校教諭は09年3月14日から15日ごろ、児童2クラス分の氏名や顔写真などが入ったUSBメモリーを校外に持ち出して紛失。個人情報が悪用されるなどの被害は確認されていないという。
別の小学校の男性教諭は07年9月13日夜、修学旅行の宿泊先の自室で、女子児童2人と一緒に布団に入っているところを携帯電話のカメラで撮影し、2人の保護者に画像データを送信した。教諭は「冗談のつもりだった」と釈明しているという。
中学校教諭はことし3月の県立高入試の後期選抜で、生徒が志望する学科と違う学科に願書を提出した。生徒が試験で面接を受けた際に発覚。出願手続きで確認を怠ったのが原因という。
県教委教職員課は「いずれもあってはならない事案だが、処分は妥当だった」としている。
<処分基準見直さず 橋本教育長>
青森県教委が、教諭らによる不適切な指導や体罰を公表対象外の訓告や厳重注意処分としていた問題で、橋本都教育長は21日、河北新報社の取材に「このままの基準でやる」と述べ、処分や事案公表の基準を見直さない考えを示した。
教諭が生徒の名前を「愚か者一覧」というリストに記載して校内に掲示したり、生徒の胸を踏み付けたりしたケースについて、橋本教育長は「あってはならない」と陳謝しながらも、「甘いか甘くないかは言えないが、制裁を科す懲戒処分にまでは至らなかった」と説明した。
秋田県が体罰事案を原則、公表対象となる懲戒処分としていることについては「他県は他県。青森県は青森県の基準でやる」と強調した。