子供の柔道事故相次ぐ 24年度に中学必修化

子供の柔道事故相次ぐ 24年度に中学必修化
産経新聞 2010年12月27日(月)1時11分配信

 柔道をめぐっては、死亡や重い後遺障害が残る事故が全国で後を絶たない。一方で、平成24年度からは中学校で柔道などの武道が必修化される。そうした中、子供が柔道事故の被害にあった家族らが団体を結成して再発防止策の検討を進めたり、柔道団体が指導者向けの手引きを作成したりと、事故予防に向けた取り組みが始まっている。

 愛知教育大の内田良講師(教育社会学)の調査によると、昭和58年から平成21年までの27年間に、中学や高校の授業やクラブ活動で108人の生徒が死亡。内田講師は「学校以外の柔道場や柔道教室での死亡者は含んでいない。潜在的な被害者はもっと多い可能性がある」と指摘する。実際、大阪市立伝法小の男児が亡くなったケースは柔道教室で起きた。

 事故を未然に防ぐには、事故の実態を把握するとともに、事故発生のメカニズムを理解した指導者の育成が不可欠といえる。

 柔道の練習中に亡くなったり、けがをしたりした子供の保護者らが今年3月に結成した「全国柔道事故被害者の会」。会長の小林泰彦さんの3男(21)は中学3年生だった平成16年12月、柔道部顧問の男性教師との練習中に倒れ、脳障害を負った。「なぜ、わが子がけがをしたのか、保護者には状況がわかりづらい。事故の実態を詳しく分析し、再発防止に生かすことが重要だ」と訴える。

 一方、全日本柔道連盟(全柔連)は18年に指導者向けの手引き「柔道の安全指導」を作成。受け身の技が十分身についていないため起こりがちな頭部受傷について、「体力や技能レベルの低い相手を投げる場合は、受身をしやすいように投げる配慮が大切」などと注意喚起している。

 全柔連によると、柔道事故による補償や見舞金制度の適用者56人のうち、3割にあたる13人が経験年数1年以下で、受傷部位の最多は頭部の24人という。

 今後、頭部受傷事故が発生した際に指導者がとるべき具体的対応などを盛り込んだ改訂版を来春をめどに発行する予定。

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