寺田・県教育長:退任へ 教職員の不祥事相次ぎ引責 /長崎

寺田・県教育長:退任へ 教職員の不祥事相次ぎ引責 /長崎
毎日新聞 2011年3月8日(火)15時18分配信

 教職員の不祥事が相次ぐ中、中学教諭の酒気帯び運転事故で詳細を公表しなかったことなどの責任を問われた寺田隆士県教育長(63)は7日、臨時教育委員会に辞職願を提出し、承認された。今月末で退任する。任期を1年残しての退任で、記者会見した寺田教育長は「教職員の不祥事が続き過ぎた。対策を強力に推進するためには、私が先頭に立つよりも、人心を一新し、新たな体制の下で取り組むことが適切と判断した」と説明した。【阿部義正】
 退任表明に先立ち、県教委は昨年12月に起きた長崎市立中学教諭の酒気帯び運転事故の公表で大きな混乱を招いたとして、寺田教育長を減給1カ月(10分の1)の懲戒処分にしたと発表した。不祥事防止対策の取り組みに影響が出ることを恐れ、中学教諭の酒席に県教委職員が同席していたことなどを公表しなかったとしている。教育長が懲戒処分されるのは異例で、これで教職員の懲戒処分は今年度13件21人(うち免職8人)となった。
 寺田教育長は34年ぶりの教職員出身の「生え抜き」で、周囲の期待も高かった。寺田教育長は「教育は学校が信頼され、教師が尊敬されて成り立つが、その前提となる不祥事を結果的に防げなかった」と無念さをにじませた。
………………………
 ■解説
 ◇根絶へ“最後の訴え”
 県教育長が不祥事で任期中に辞職するのは今回が初めて。異例中の異例の事態だ。 今年度、わいせつ事件など教職員の不祥事がハイペースで起きた。寺田教育長は昨年10月「非常事態」を宣言。根絶を目指し、自ら学校に出向いて直接教職員に訴えたが、その後も止まなかった。
 12月には「コンプライアンス対策本部」を設立し、関係機関が総力挙げることを打ち出したが、その翌日に長崎市立中学教諭の酒気帯び運転が発生。酒席に県教委職員も同席しており、混乱した寺田教育長は十分に検討しないまま、事実を伏せてしまった。これが退任につながった。
 寺田教育長は7日の会見で「不祥事は基本的には本人の問題」とした上で「訴えても訴えても、響かなかった」と力なく語った。退任は寺田教育長の不祥事根絶への最後の訴えといえる。これをいかに受け止めるか。教職員一人一人の自覚にかかっている。【阿部義正】
〔長崎版〕

3月8日朝刊

過去記事

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする