朝鮮学校担保の負債放置 総連系企業 三重県が補助金凍結

朝鮮学校担保の負債放置 総連系企業 三重県が補助金凍結
産経新聞 2011年7月23日(土)7時55分配信

 四日市朝鮮初中級学校(三重県四日市市)の土地と建物を担保に、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関連企業が資金を引き出したまま返済されずに不良債権化していることが22日、分かった。三重県は運営状態に重大な問題があるとして同校への今年度の補助金支給を凍結した。朝鮮学校の資産を担保にした負債が焦げ付いた例は各地でみられ、他の自治体の補助金政策にも影響を与えそうだ。

 学校資産を担保に融資を引き出していたのは、朝鮮総連傘下の在日本朝鮮人三重県商工会の元理事長(59)が経営する企業。

 関係者や登記簿によると、平成13年10月〜14年6月、学校の土地と建物を担保に同社の前身の企業を借り手、在日朝鮮人系金融機関の旧朝銀中部信用組合(現イオ信用組合)を貸し手とし、億単位の借り入れが可能な融資契約が結ばれた。元理事長はこれらを元に約3億円の資金を引き出し、中国でソフトウエア事業を展開。「中国経由で北朝鮮に資金を持ち出し、平壌で飲食店事業を行った」との関係者の証言もある。

 学校資産を担保にするには、学校側の承認が必要だが、元理事長は「事業の利益で学校を支援し続ける」と吹聴し融資を取り付けたという。しかし事業はうまくいかず、負債は焦げ付いたまま。会社所在地に登記された県内のマンションは既に引き払われ、元理事長は所在不明となっている。

 県は同校に毎年300万円の補助金を支給してきた。担保問題をめぐって15年にも学校側に是正を勧告。学校側は「解決に向け努力する」と回答していた。その後も放置され続けた状況を重くみた県は今年度の補助金支給を保留した上で、校長に事情説明を求めるなど調査を始めた。

 県の調査に対し、校長は「就任前のことでよく分からない」と繰り返したという。県は学校側にさらに詳しい実態の報告と解決策の提示を求めている。

 産経新聞の取材に、校長は「イオ信組などと協議し解決策を検討していきたい」。信組の担当者は「融資当時の状況を把握しておらず、お答えできない」と話している。

 朝鮮学校の土地・建物を担保に朝鮮総連関係者が旧朝銀信組から巨額の融資を引き出すことは、以前から恒常化していた。旧朝銀信組の破綻をきっかけに全国13の朝鮮学校の資産が整理回収機構(RCC)に仮差し押さえされている。

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朝鮮学校担保の負債放置 “私物化”各地で常態化
産経新聞 2011年7月23日(土)7時55分配信

 四日市朝鮮初中級学校を担保にした負債が不良債権化した問題は、朝鮮総連関係者が学校を“私物化”しカネもうけに邁進(まいしん)していた実態を浮き上がらせた。北朝鮮からの献金圧力のもと、学校の私物化は繰り返されてきたが、国や自治体がチェック体制を強めたきっかけは、皮肉にも朝鮮総連が求めた朝鮮学校への無償化適用問題だった。

 ▼起死回生

 「手広く事業を進める地元きっての実業家」。関係者によると、学校資産を担保に多額の融資を引き出した在日本朝鮮人三重県商工会の元理事長は周囲からこう見られてきた。

 だが、実情は違った。

 過去にも北朝鮮で飲食店事業を展開しようとしたが、うまくいかなかったという。「地元の在日企業家の理事長という地位を利用して起死回生を狙ったのではないか」と関係者は指摘し、「中国や北朝鮮で事業をするには北朝鮮の承認が必要で、北朝鮮側にもカネが流れただろう」と推測する。

 子供たちの学舎である学校資産を担保にした事業がなぜまかり通るのか。

 元朝鮮総連関係者によると、北朝鮮から朝鮮総連に1980年代後半に出された本国への献金強化の通達以降、朝鮮総連は東京や大阪、京都の朝鮮学校資産などを担保に資金を捻出し、ビジネスを展開。本国へ多額の出資をした在日朝鮮人には勲章が授けられた。

 担保の資産価値を大幅に上回るずさん融資が続き、平成9年以降、朝銀信用組合の破綻を招いた。千葉、埼玉、愛知など全国13の朝鮮学校の資産が整理回収機構(RCC)に仮差し押さえされた。四日市朝鮮初中級学校は当時、担保にされることを免れていた。だが、今回発覚したずさん融資は朝銀信組の破綻をめぐり、警視庁が朝鮮総連幹部らを逮捕したのと同時期に行われていたのだ。

 ▼治外法権

 朝鮮学校は、一般の小中高校と異なり、予備校などと同じ「各種学校」に位置付けられている。一方で、各自治体は私立学校への支援と同等の補助金を支出。毎年、計8億円以上の補助金が投入されてきた。

 朝鮮学校では、校長らが朝鮮総連の幹部職を兼務するなどの一体化人事や、故金日成主席、金正日総書記父子を崇拝したり、日本人拉致問題を曲解した歴史教育が行われている。

 こうしたことに加えて、朝鮮総連関係者による朝鮮学校の私物化が常態化していたにもかかわらず、自治体が補助金支出の適正について検討することは長い間なかった。

 「治外法権」化していた朝鮮学校に自治体が関心を向け始めたのは、高校授業料無償化の朝鮮学校への適用問題がきっかけだった。文部科学省が無償化適用の留意事項として、教育内容や経理の透明化を挙げたこともあり、独自の調査を始める自治体が現れた。

 千葉県は、学校資産が仮差し押さえされた状況から財政的に健全とはいえないなどとして今年度の補助金支給を停止。東京都や宮城県、大阪府は拉致問題に関する教育内容などから支給の見送りや一部見送りを決め、埼玉県も支給を保留している。

 「学校の私物化によって犠牲になるのは児童・生徒だ。問題発覚を契機に朝鮮学校はうみを出し切るほか、再生の道はない」。三重県内の在日関係者からはこんな声も漏れる。

 ただ、不明瞭な学校運営や実態を把握していない自治体のほうがまだ多いのも事実。早急な見直しが求められている。(桜井紀雄)

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