大阪維新の整理解雇条例案、労組反発・民間賛同

大阪維新の整理解雇条例案、労組反発・民間賛同
読売新聞 2011年8月9日(火)14時23分配信

 大阪府の橋下徹知事が代表を務める地域政党・大阪維新の会が、公務員を整理解雇(リストラ)できる規定を盛り込んだ条例を検討していることが9日明らかになり、職員側からは反発の声が相次いだ。

 大阪維新の会は所属議員のいる府と大阪、堺両市の職員と教職員を対象に、懲戒、分限免職の処分規定を定めた「公務員基本条例案」と「教育基本条例案」を、3議会の9月定例会にそれぞれ議員提案する方針。

 大阪府の職員労組・府労働組合連合会(府労連、約1万6000人)の川本富士夫書記長は「職員に非がなくても、当局の都合で組織改編すれば、首切りができるようになる。秋に想定される知事、大阪市長のダブル選に向けたパフォーマンスだ」と反発。別の労組幹部も「解雇を恐れて職員が自発的に仕事をしなくなる」と危惧した。

 大阪市幹部の一人も「トップの恣意(しい)的な判断に左右されないよう基準の明確化が必要。選挙目当てで拙速にやるべきテーマではない」とした。

 新藤宗幸・元千葉大教授(行政学)は「組織の改廃程度で分限免職が行えるようになれば、特定の政党になびく公務員が生まれかねず、中立性が損なわれる」と指摘した。

 一方、民間からは賛同の声も。同府東大阪市の金属加工業「森本金属製作所」の森本賢一社長(54)は「リストラは最後の手段だとは思うが、自治体経営が悪化しているいま、企業と同じように余剰人員を減らすことも考える必要がある」と理解を示した。

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違反3回で懲戒…橋下維新、リストラ条例提案へ
産経新聞 2011年8月9日(火)14時16分配信

 大阪府の橋下徹知事が率いる地域政党「大阪維新の会」が、府と大阪、堺両市の3議会での提案を目指す一般職員と教職員の懲戒、分限免職の処分規定を定めた「職員基本条例案」の概要が9日、明らかになった。組織改編で余剰人員が発生した場合、分限免職の対象にする規定のほか、職務命令に3回以上違反した場合、懲戒免職処分できる規定も盛り込む方針。

 争議権がないなど労働基本権に制約がある公務員は、身分保障が前提となっており、職員組合などの反発は必至。この点について維新側は、第三者機関の監察委員会を設けて異議申し立てを可能にするなどし、公平性を保つとしている。

 維新幹部によると、対象は一般行政職員と教職員で、それぞれ別々に条例案を提出する方針。「整理解雇」とは明記しないものの、職制の見直しや事業の民営化を進めた上で余剰人員が生じた場合、分限免職の対象にする規定を盛り込むとしている。維新が訴える大阪市営地下鉄の民営化後の人員見直しなども視野に入れている。

 一方、職務命令違反については、原則として1回目は警告と研修、2回目は実名公表、3回目以降は懲戒免職処分とする方針。ただ、処分の軽重については、第三者委員会の判断を尊重するとしている。

 維新幹部は「地方公務員法でも、地方自治体が独自の人事制度を作るよう定めている。公務員は身分ではなく、一つの職業だと提起したい」としている。

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