「公募校長現実離れ」 府教育委員が橋下知事と直接対決へ

「公募校長現実離れ」 府教育委員が橋下知事と直接対決へ
産経新聞 2011年9月29日(木)15時32分配信

 ■教育基本条例案総辞職の構え

 大阪府の橋下徹知事率いる地域政党「大阪維新の会」が9月府議会に提案した教育基本条例案をめぐり、橋下知事が府教育委員と直接意見交換する方向で調整していることが29日、府関係者への取材で分かった。府教育委員の大半は橋下知事自身が迎え入れた経緯があるが、条例案が可決された場合、総辞職も辞さない姿勢で反発しており、議員提案の条例案を橋下知事が説明にあたるという異例の“直接対決”になりそうだ。

 府関係者によると、意見交換会の開催は、橋下知事側から提案され、10月7日で調整している。橋下知事は「今の教育委員会制度では、教員と教育に対する責任の所在が全くわからない」と条例案の正当性を主張しており、その趣旨や意義などを説明、理解を求めるとみられる。

 ただ、条例案が示した正副校長約400人の公募や、任期が設定された正副校長が担うことになる学校運営のあり方をめぐっては、維新内でも再検討の必要を認める声がある。10月3日には、維新府議が、府立高校の校長7人から意見を聞く予定にしており、大阪市長選、府知事選のダブル選を見据えて橋下知事が条例案の見直しを検討する可能性もある。

 現在、6人の府教育委員は、1人を除いてすべて橋下知事自身が任命。特に、大阪樟蔭女子大学講師で算数教材の「小河式プリント」で知られる小河勝(おごうまさる)委員や、立命館大教授で「百ます計算」の実践で知られる陰山英男委員らは、「学力向上」を最重要テーマに掲げた橋下知事の肝いりで任命された経緯がある。

 しかし、今月16日の教育委員会議では、条例案について「ちゃんと教育現場をみて条例案を出したのか」「横暴としかいいようがない」といった批判が噴出。条例案を原案通り賛成する委員は1人もおらず、条例が成立すれば、府出身で常勤の中西正人教育長を除く5人の委員が「総辞職するしかない」という声まで出ていた。

 知事との意見交換について、陰山委員は産経新聞の取材に「知事との会合は1回限り。これからの大阪の教育の方針を決める上で非常に重要な場になる」と強調。「大きな方向性を決める条例案の提案にしてはあまりに性急。教育のプロとして絶対にうまくいかないという確信がある」と指摘し、「民間人校長のすべてが成功しているわけではない。公募で正副校長の候補者を数百人集めるというのは現実離れしている」と改めて批判した。

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まず、普通の会社だったら厳しく注意する上司がいるが、公立学校の場合、そもそも誰が“上司”なのかがよくわからない。校長先生だと思う人も多いだろうが、校長先生の定義は、以下の通りである。

 学校の先生たちを「監督」する立場にはあるが(学校教育法37条4項)、「人事権」は与えられていない(地方教育行政の組織及び運営に関する法律34条)。

 校長先生の言うことを聞かない先生が出てくる所以だ。 

 では、「区市町村立」の学校だから、選挙で選ばれた市長や区長が民間企業で言う“社長”にあたるのでは、と思うかもしれないが、これも違う。教育に関する権限の多くは、市長たちから切り離され、独立した「教育委員会」に与えられる(同法23条)。
 
 しかも、小中学校の場合、「区市町村立」の学校なのに、教員の人事権は「都道府県教育委員会」だったり、ともかく複雑になっている。結局は、誰が責任を取るのだかわからない、もっと言えば、誰も責任を取らなくていいシステム――になってしまっている。
 
 この“無責任体制”が、学校を特殊な世界にしている。普通の会社なら、誰の言うことも聞かず滅茶苦茶を繰り返していたら、最後は懲戒処分が下る。学校の場合も、一応懲戒処分の制度はあって、中には、「君が代斉唱時の起立を命じた職務命令への違反」で懲戒処分が下されたケースもないわけではない。だが、これは、ごくごく例外的なケースにとどまる

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