堀越学園:男性が提訴 満期学債償還せず、文科省が調査 /群馬

堀越学園:男性が提訴 満期学債償還せず、文科省が調査 /群馬
毎日新聞 2011年12月7日(水)11時37分配信

 学校法人堀越学園(高崎市、王豊理事長)が一般募集していた学校債を巡り、期限が過ぎても償還されないとして、同学園が提訴されていることが分かった。文部科学省は6日、学校法人運営調査委員制度に基づく実地調査を法人本部などで実施し、学校債の募集方法や調達資金の使途、償還計画などについて王理事長や財務担当者から事情を聴いた。【増田勝彦】
 ◇学園側「資金繰りに努力」
 学校債の募集要項によると、「預金と同様に“額面金額+利子”がつく安心な債券」「文部科学省に認定されている学校法人の学校債」とうたっていた。募集期間は昨年6月から1年間で、償還期間は原則1年。募集総額は1億円以下(1口50万円)とし、利率(固定金利)は5・5%に設定していた。募集目的には「国際化拠点と日本語教育学校の充実」「サテライト校として東京にプロフェッショナルな教育をできる空間の確保」を掲げている。
 学園関係者によると、学債募集のために同学園が運営する創造学園大東京校(東京都墨田区)内に専門部署が設置され、勧誘に当たっていたという。
 学債を巡っては東京都内の男性が同学園を相手取り、計450万円と約定利息の支払いを求める訴訟を計2件、東京地裁に起こしている。訴状によると、男性は昨年9月に5口250万円、10月に4口200万円の学債を引き受けたが、1年の期限を過ぎても、償還されていないとしている。2訴訟の第1回口頭弁論で学園側は話し合いで解決したいとの意向を示している。
 調査を終えた文科省担当者は「年内にかなりのものが償還期限を迎える。学園からは、返金のため資金繰りに努力し、少額だが支払いもしている、との説明を受けた」と話した。
 ◇閲覧用財務書類、事務所に置かず
 学校法人堀越学園が、私立学校法で義務づけられた閲覧用財務書類を事務所に備え置いていないことが6日、文部科学省の実地調査で分かった。
 同法は財産目録、貸借対照表、収支計算書などの財務書類を各事務所に備え置き、在学生や利害関係人からの請求に応じて閲覧させなければならないと義務づけている。同省は同学園に改善を指導した。
 ◇小規模債は国の規制外
 学校債は07年施行の金融商品取引法で有価証券とみなされ、規制対象になった。有利子で一般人に発行または譲渡可能な学校債は投資家保護のため、原則として財務情報の厳格な開示と国への届け出が義務づけられている。しかし、引き受け500人未満、総額1億円未満の場合は規制対象から外れる。堀越学園は届け出ていない。
 また同学園の学校債の募集要項では、消費貸借契約に基づく「借入金」であることを明示しており、約定通り償還されなくても罰則規定はない。
 学校債の発行について文部科学省は01年、学校法人に対し、経営の健全性確保の観点から、無理のない償還計画を策定するよう通知している。

12月7日朝刊

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