知事の罷免権削除「基本計画」共同で策定…教育条例の府教委案 

知事の罷免権削除「基本計画」共同で策定…教育条例の府教委案 
産経新聞 2012年1月20日(金)14時50分配信

 ■維新案を大幅見直し

 大阪府の教育委員会議が20日開かれ、松井一郎知事が2月議会に提出予定の教育基本条例案について、府教委事務局の原案が示された。大阪維新の会が作ったもとの条例案で松井知事と府教委の間で争点となり、文部科学省が違法性を指摘した知事による教育委員の罷免権は削除。知事による教育目標の設定も見直され、知事と教育委員が共同で「教育振興基本計画」を定めるとし、知事の意見を教育現場に反映させる仕組みが提案された。

 25日に開かれる大阪市との府市統合本部会議で議題になる予定。府教委案をたたき台に松井知事と橋下徹市長が協議して最終案を固めるが、罷免権などは松井知事が強いこだわりを見せており、府教委案が大幅に見直される可能性もある。

 府教委案は、教育行政の仕組みに関するルールを定めた「教育行政基本条例」と、学校運営に関する「府立学校条例」の2本立て。維新案にあった教員の評価や処分のルールは分離され、職員基本条例案に準拠するとした。

 維新案の柱となった教育目標の設定に代わる形で盛り込まれた教育振興基本計画は、教育振興の「基本的な目標」と位置づけ、知事だけでなく府民の声も反映させるほか、議会の議決も必要としている。

 また、教育委員の罷免権や、3年連続で定員割れした学校を統廃合の対象とするルールは削除。「全廃」とされた府立高の通学区は生徒や保護者の声を聞いて総合的に判断するとし、全校長を公募で採用する規定についても、採用の拡大方針を示すにとどめた。

 一方、学校運営に保護者の意見を反映させることや、教員の人事評価を生徒の授業評価を考慮して行うことなど、維新案を意識した規定も盛り込まれた。

 松井知事は、教育委員の罷免権について「首長が一方的に罷免するのではなく、議会の同意を加えれば問題ない」と述べ、改めて盛り込む考えを示した。

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