柔道指導に警察OB 文科省検討 安全対策充実図る

柔道指導に警察OB 文科省検討 安全対策充実図る
産経新聞 2012年1月22日(日)7時55分配信

 今春から中学校で必修となる武道について、文部科学省が外部指導者として警察OBの活用を検討していることが21日、分かった。武道をめぐる学校内での死亡事故も多く、初めての指導に不安を持つ体育教師をサポートするには、武道の専門的技能がある警察OBの協力が有効と判断した。保護者からもけがに対する不安の声があり、学校と警察がタッグを組んで安全対策の充実を図る。

 文科省では、警察OBに対し教師への実技研修の講師や授業での外部指導者としての協力を想定している。警察庁に対し書面で協力を要請し、警察庁側も都道府県警察や関係機関に対し、指導に協力できるOBがいるか連絡を行った。

 文科省が平成20年に実施した抽出調査では、武道のうち柔道を採用している学校は58・9%。必修化で、剣道や相撲と比べ防具代や設備負担が小さい柔道を選ぶ学校が多いと見込まれる。

 一方で、柔道には競技中の事故の懸念もある。独立行政法人日本スポーツ振興センターが2年から21年までに、学校内で柔道の授業や部活動で死亡し見舞金を支給したのは74件。陸上競技(275件)や水泳(103件)と比べれば少ないが、競技人口比での事故数は多いとされる。

 授業では、体育教師が武道を教えることになるが、多くは大学の授業で選択した程度で、危険を伴う柔道の指導に不安を持つ教師も少なくないという。

 こうした不安の解消と安全指導を目的に各教育委員会では、地元の柔道家を招いて講習会などを開催している。

 だが、外部指導者は約10時間の授業に立ち会うことになるため地元の柔道家だけでは足りないのが現状だった。

 団塊世代の大量退職で腕に覚えのある警察OBは全国に多く、こうした文科省からの協力要請には警察庁も歓迎の姿勢を示す。警察庁の担当者は「武道に熟知した警察OBは、外部指導者の主要な人材源のひとつだと思う。各都道府県警では、教育委員会などから依頼があった場合には協力に配慮してほしい」と話している。

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