武道必修化前に安全指導を徹底 和歌山県教委

武道必修化前に安全指導を徹底 和歌山県教委
紀伊民報 2012年1月25日(水)16時59分配信

 2012年度から中学校の体育で、武道が男女とも必修化されるのを前に、和歌山県教委は事故防止の徹底を図っている。中でも県内で4割超が選択予定の柔道は、全国の中学・高校の授業や部活動中に死亡事故も起こっており「より安全に配慮した指導が重要」と呼び掛けている。

 県教委によると、県内135中学校のうち、すでに130中学校が取り組んでいる。内訳は剣道が最多の44%。続いて柔道43%、相撲6%、なぎなた3%、合気道2%、空手2%(男女や学年で別競技の学校もある)。来年度は未実施5校も含め、各校とも年間10時間程度の授業を計画している。

 体育教諭は大学時代に柔道や剣道の講義を受けているが、指導経験がない場合も多い。県教委は毎年、柔道と剣道の指導者講習を紀北と紀南の2会場で実施している。講習参加者は段位認定の講習にも参加できる。

 それでも、体育教諭351人中、段位取得者は柔道が98人、剣道が37人、合気道が2人と全体の39%にとどまる。各校に段位取得者を配置できない場合も考えられる。

 田辺市内の男性体育教諭(32)は「今は武道経験のある教諭が指導してくれているが、必修化後に備えて指導者講習に積極的に参加して準備している」と話す。

 武道の伝統的な考え方や礼儀を学ぶため、20年以上前から柔道を取り入れている高雄中では、安全対策に「生徒への事前指導の徹底」「狭い柔道場に何列で並ぶか、実技と見学の割合など指導体系づくり」「習得段階を細分化した指導」を心掛けているという。

 県教委は昨年5月に全中学・高校から最低1人以上の参加を募り、武道指導の安全対策研修を開いた。2月には市町村教委が集う会合で対策の徹底を再度呼び掛ける。

 田辺市の中学16校では柔道が半数の8校を占めている。市教委は09年度から畳など用具の購入を進めてきた。ただ、小規模校では指導者確保が課題。専門性を持った教諭の異動次第で、競技を変更する学校が出る可能性もあるという。柔道以外の競技は剣道4校、合気道2校、未実施2校。

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