東北大院生、アカハラ苦情申し立て 部局で門前払い後認定

東北大院生、アカハラ苦情申し立て 部局で門前払い後認定
河北新報 2012年3月15日(木)8時26分配信

 東北大大学院教育学研究科の男子大学院生が申し立てたアカデミックハラスメント(アカハラ)の苦情に対し、同研究科の相談窓口が「門前払い」した後に大学が認定し、同研究科の男性教員を厳重注意処分としていたことが14日、分かった。

 東北大は学内のハラスメントについて、研究科・学部ごとの「部局」と、大学全体を対象とする「全学」の2種類の相談窓口を設けている。今回のケースは、部局が身内の教員をかばったと受け止められかねず、相談機関としての中立性に疑問の声が出そうだ。
 関係者によると、院生は教育学部4年生だった2009年3月、卒論審査会などで男性教員に脅迫的な言動を含む不当な対応をされたとして、部局窓口に相談した。1週間後、「部局としては何もできない」と回答があった。
 院生が同年11月、全学の窓口に相談したところ、大学側は10年6月、「卒論審査会で不適切な発言があった」と認定し、男性教員を文書による厳重注意処分とした。
 部局窓口は研究科や学部の内部事情に通じた職員が対応する。問題が内々に処理されるため、全学窓口に比べて密室性が高い。
 東北大人事課は「個別事案には答えられない」としつつ、「部局には特有の事情もあって、窓口を設けているが、大学本部に(情報が)上がってこない面はある。同じ案件で何度も相談しなければならないような状況があれば、好ましくない」と話している。
 NPO法人「アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク」(大阪市)代表理事の御輿(おごし)久美子奈良県立医大特任教授は「学生や院生にきめ細かい対応が期待されている部局の判断としては、疑問を感じる。部局と全学が密に連携し、良好な就学環境の確保に努めなければ、アカハラ問題の解決にはつながらない」と指摘している。
 河北新報社は1月、男性教員への処分に関する文書を情報公開請求したが、東北大は2月下旬、文書の存否も回答しない不開示決定をした。

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