北海道教育大のアカハラ訴訟、大学側控訴を棄却
読売新聞 2012年3月16日(金)15時13分配信
学生に対する立場を利用した嫌がらせ(アカデミック・ハラスメント)を理由に、勤務先の北海道教育大旭川校(北海道旭川市)を懲戒解雇されたのは不当だとして、元准教授の男性3人が同大に対し、地位確認などを求めた訴訟の控訴審判決が16日、札幌高裁であった。
小林正裁判長は「解雇権の乱用で無効といわざるを得ない」として、3人の准教授としての地位を認め、解雇後から現在までの賃金を支払うよう同大に命じた1審・札幌地裁判決を支持し、大学側の控訴を棄却した。
3人は、アイヌ語関連の研究を学生に手伝わせて過重なノルマを課し、不当な学生指導を行ったなどとして、2009年3月に大学に懲戒解雇されていた。
判決で、小林裁判長は学生へのハラスメントを認め、「一定の懲戒処分を科すことは相当」と指摘した。しかし、3人の指導者としての実績などに触れて懲戒解雇は「いささか酷」とし、無効との判断を下した。
3人の弁護人は閉廷後、「大学側は上告せずに、3人を速やかに職場復帰させてほしい」と話した。同大は「主張が認められず、大変遺憾。今後の対応をこれから検討する」とコメントした。
元准教授のゼミ生だった男子学生は、早朝から深夜まで元准教授の研究を手伝わされたこともあったと証言。その上で「絶対的な存在の先生から叱責(しっせき)を受け、プレッシャーを感じた」「体調を崩し、引きこもるようになった」などと述べた。
一方、元准教授側の反対尋問で詳細なやりとりを尋ねられると、「詳しくは思い出せない」などと述べた。