センター試験、やる気のない大学・教員がミス
読売新聞 2012年4月3日(火)12時1分配信
1月の大学入試センター試験で問題冊子の配布ミスが続出した問題で、大学入試センターの検証委員会は3日、再発防止策をまとめた報告書を公表した。
冊子の配布方法の複雑さに加え、試験監督を務めた教員の“やる気のなさ”もミスの原因になったと指摘した。
検証委は試験を実施した544大学を対象にアンケートを実施し、519大学から回答を得た。同センターが試験監督を務める教員用に作成した監督要領では、「地理歴史」「公民」から1科目ずつ選択する受験者には両方の問題を配布するよう指示していたが、331大学(64%)が「監督要領から(指示を)読み取れなかった」と回答。ミスの原因について、339大学(65%)が問題冊子が別々だったことを挙げた。
また、配布ミスがあった69大学のうち13大学が、監督者への事前説明会に「教員が義務的に参加していた」と回答。22大学では、事前説明会の欠席者に対し、資料配布だけで済ませていたことも分かった。
このため、検証委は「ミスのあった大学では、監督を務めた教員の熱心さが足りなかった」と指摘。地歴と公民の問題冊子を1冊にまとめたり、監督要領を改善したりするなど再発防止策を講じる必要があるとしたほか、同センターに対し、監督者への事前説明会を複数回開くよう大学側に要請することを求めた。
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無駄多く、用語複雑、秘密主義…「監督要領」不備多く センター試験問題配布ミス
産経新聞 2012年4月4日(水)14時45分配信
200ページを超える試験監督要領には、「居眠りしないように」などといった監督者自身への幼稚とも思える細かい注意事項が記載される一方、「2冊同時配布」という肝心のポイントが抜け落ちていた。識者からは、要領の非公開を徹底してきた大学入試センターの閉鎖的体質を問題視する声も出ている。
要領には、問題冊子の搬入方法のほか、「トイレに行きたくなった人は手を高く挙げて」といった、受験生への注意事項の説明を始める時間などを細かく明記しているとされる。試験での苦情を毎年反映し、分量は年々増加していったという。
無駄な中身が多いことに加え、検証委員会が指摘したのが用語の「分かりにくさ」だ。
センターが各大学に実施した調査(複数回答)では、「2科目受験者」などの用語について、ミスをした大学の71%が「分かりにくい」と回答。ミスのなかった大学でも59%にのぼった。
センターはこれまで、要領について秘密主義を貫いてきた。試験実施関係者以外の手に渡らないよう強く求め、試験の約1カ月前に配布された要領は、試験終了後に回収される。
東洋大学の山田肇教授は「改善策の一つは要領を公開することだ。公開すれば、受験生も監督者のミスに気付けるし、中身の批判も受けて簡素化できる」と指摘している。