<大産大付高>市立中校長ら59人を38回接待

<大産大付高>市立中校長ら59人を38回接待
毎日新聞 2012年5月16日(水)15時1分配信

 大阪産業大付属高校(大阪市城東区)が08〜11年、大阪市立中と大阪府寝屋川市立中の校長ら59人を計38回にわたり飲食接待していたことが、複数の関係者への取材で分かった。飲食費計419万円は高校の会計から支出。中学の校長らが一部負担した額を、高校側は「裏金」として簿外で管理していた。高校は府から年間約4億7000万円の私学助成を受けている。府は「受験生確保が目的との疑惑を招きかねない」として指導を検討。大阪市教委などは退職者を除く校長ら51人を処分した。

 府や高校などによると、接待を受けたのは大阪市立中の校長48人、教頭1人▽同市立小の校長1人▽寝屋川市立中の校長9人。高校からは校長や教頭、渉外担当者ら17人が参加し、「情報交換会」と称して大阪市内の中華料理店などで飲食。学校運営や生徒指導、受験の傾向などを話し合ったという。

 1回の料金は1人1万5000円程度で、高校が一括して支払い、渉外費として学校会計で処理。中学の校長らの大半は1回1000〜3000円を負担したが、高校側はこれを学校会計に入れずに簿外で管理し、他の学校を訪れる際の土産代などに使ったという。

 府が昨年7月、匿名の投書を受けて調査を始めた。高校は今年3月、「授業料や補助金で運営する私立学校として適切ではなかった」と府に報告したが、受験生を確保する目的だったとの疑いは否定した。府私学・大学課は「入試の公平性の観点で疑惑を招く」と問題視。資金の簿外処理についても会計処理基準に違反するとして文書指導を検討する。

 高校は3〜4月、平岡伸一郎校長(52)ら15人を訓戒や厳重注意し、3月までに参加者から実際にかかった飲食費を追加徴収した。平岡校長は取材に「受験生の動向などの情報交換会だった。受験に関する依頼はしていないが、誤解されても仕方ないと反省している」と話した。

 一方、大阪市教委は2月、「密室での会食は保護者や市民の誤解を招き、教育公務員の信用を傷つけた」として、退職者を除く校長ら14人に文書訓告、31人に口頭注意した。寝屋川市教委も同月、校長6人に口頭注意した。【原田啓之、津久井達】

 ◇大阪産業大付属高校

 学校法人「大阪産業大学」(大阪府大東市)が運営、12年5月現在の生徒数は2335人。1928年に大阪鉄道学校として設立。法人は他に大阪産業大、付属中、大阪桐蔭高・中を運営。大阪桐蔭は今春の選抜高校野球大会で優勝した。

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<大産大付高接待>前校長時代から 「他校をまねた」
毎日新聞 2012年5月17日(木)15時0分配信

 大阪産業大付属高校(大阪市城東区)が08〜11年、大阪市立中の校長ら59人を接待していた問題で、接待が始まったのは前校長時代だったことが関係者への取材で分かった。現校長が就任後も事務方の職員を通じて引き継がれ、飲食費は稟議(りんぎ)書で校長が決裁していた。前校長は毎日新聞の取材に、「他の学校でやってるのを見て、同じことをやろうと思った」と証言。接待の慣習が他校でも常態化している可能性を示唆した。

 府や高校関係者によると「情報交換会」と称して接待が始まったのは08年5月。同校の教育相談役を務める元大阪市立中校長(71)が後輩の校長らを集めて開いていた私的な勉強会が母体だった。前校長が参加するようになり、飲食費は高校の会計から支出されるようになったという。前校長は取材に、「いろんな情報を教えてもらったから、どこかで役に立つだろうと思った」と学校会計から支出した理由を説明した。

 その後、08年10月に現在の平岡伸一郎校長が就任。平岡校長は取材に「就任時には既に情報交換会が開かれており、会を開く前には渉外費で予算をいくら使うという稟議書が回ってきた」と述べ、接待が組織的に引き継がれていた実態を証言した。

 前校長は03年に就任。現在は大阪府岸和田市の私立高校の校長を務めている。前校長は取材に、「(接待は)私が最初に考えたわけではないし、大産大付属だけ突出していたわけではない」と釈明。「以前は公務員も含めて供応や接待がまかり通っていた。最近は厳しくなっており、過渡期の出来事だった」と述べた。【原田啓之】

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