シンポジウム:学校スポーツ事故を考える 柔道指導、あり方探る 被害者家族ら、再発防止や安全対策−−神戸 /兵庫

シンポジウム:学校スポーツ事故を考える 柔道指導、あり方探る 被害者家族ら、再発防止や安全対策−−神戸 /兵庫
毎日新聞 2012年6月4日(月)12時39分配信

 今年度から中学校で必修化された柔道の指導のあり方などについて考えるシンポジウム「学校スポーツ事故を考える」が3日、神戸市中央区中山手通4のラッセホールで開かれた。学校の授業や部活動中に発生した事件や事故の被害者家族ら約80人が参加、スポーツ事故の再発防止や安全対策について話し合った。【宮嶋梓帆】
 が主催した全国集会の一環。事務局の小林恵子さん(62)が事故の事例や再発防止へ向けた取り組みを紹介し、名古屋大の内田良准教授(教育社会学)が柔道事故の特徴や実態を報告した。
 小林さんの三男は横浜市立中3年だった04年、柔道部の練習で顧問の教諭に投げ技や絞め技を連続してかけられ、脳挫傷を負った。今年1月には、横浜市と神奈川県に約8900万円の支払いを命じる横浜地裁の判決が確定。判決は、頭を打たなくても回転力がかかることで脳と硬膜をつなぐ血管が切れ、死亡や重い障害につながる「加速損傷」を認定した。
 小林さんは、柔道の練習中に加速損傷による事故が発生していることを国は約30年前から把握していたと紹介し、「当時から国が事故防止に動いていれば、29年間で118人もの中高生が柔道事故で亡くなることはなかった」と訴えた。
 学校内の事故について調べている内田准教授は、柔道の死亡事故のうち、中学生で75%、高校生で約60%が投げ技など柔道固有の動作による頭部のけがで死亡していると指摘。「頭部外傷に関する知識を持つ指導者が現場に入ることが必要。事故を仕方のないものと考えず、公的な問題として捉えるべきだ」と語った。
〔神戸版〕

6月4日朝刊

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