業務上過失傷害:男児が頭蓋骨骨折 館山の特別支援学校、事実と異なる説明 両親が被害届 /千葉

業務上過失傷害:男児が頭蓋骨骨折 館山の特別支援学校、事実と異なる説明 両親が被害届 /千葉
毎日新聞 2012年7月10日(火)12時38分配信

 今年5月、館山市中里の県立安房特別支援学校小学部1年に通う男児(6)が、授業中に教師に背負われた際、床に落ち、頭を強く打つなどして、脳挫傷と頭蓋骨(ずがいこつ)骨折で全治1カ月の重傷を負っていたことがわかった。しかし、学校側は事故直後、男児の両親に、「(男児が自分で)後ろに反って背中を打った」と事実と異なる説明をし、頭のけがの発見が2日遅れたという。男児は快方に向かっているが、県教委が調査を始めたほか、学校側の対応に不信感を持つ両親は7日、館山署に業務上過失傷害容疑で被害届を提出した。
 県教委への同校の報告書などによると、男児は自閉症と診断され、4月に入学。5月2日午後、教室でビデオ鑑賞中、室内を走り始めたため、副担任が背中におんぶしたところ、男児が後ろに反り返り、床に落ちたという。ところが、副担任らは「(男児が自分で)立った状態から後ろに反り返り、背中を打った」と教頭に報告。両親への連絡帳にも同趣旨の説明を書き、約1時間後、デイケア施設に送り届けた。
 夕方、同施設に迎えに行った父親が男児の様子を不審に思い、同市内の救急病院を受診。学校側の「頭は打っていない」という説明のため、頭部の検査は行わなかったが、2日後、両親が男児の側頭部の皮下出血に気付き、鴨川市内の総合病院で診察を受けたところ、脳挫傷と頭蓋骨骨折が判明した。
 大型連休明け、鈴木正彦校長や担任教諭らが男児の家を謝罪に訪れた。鈴木校長らは当初、「立っている姿勢から反って倒れた」と説明していたが、その後、「おんぶした状態から床に落ちた」と訂正したため、両親の不信感は強まり、男児は登校を控える状態が続いている。
 男児の父親は「学校は隠蔽(いんぺい)を図ったとしか思えない。意思を伝えにくい障害児に起きた事故を、保身から事実をゆがめ、隠そうとしたのは許せない」と話している。
 鈴木校長は「副担任ら現場にいた教員は、男児が頭を強打した認識がないため、事故当初の対応を誤った。事故の責任は学校側にある。一日も早く授業に戻れるよう、対応したい」と話している。【中島章隆】

7月10日朝刊

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