大津市 いじめ自殺 7月9日分

子供を学校に殺されない為に親は何をすべきか?(続編) – 山口 巌
アゴラ 7月9日(月)14時10分配信

京都新聞のこの記事、大津市、遺族にいじめの日時特定要求 中2自殺訴訟には飽きれ果てて、流石に言葉も出ない。

“大津市で昨年10月、マンションから飛び降り自殺した男子生徒=当時(13)=の遺族が、自殺はいじめが原因として市などに損害賠償を求めた訴訟で、「校内で教師がいじめを見逃していた」との事実認定をめぐり、市側が遺族に対し、いじめの日時や現場を特定するよう求めていたことが7日、分かった。遺族側は「学校内部で起きたことを両親が特定できるわけがない。本来は市側が調査し、明らかにするべきことではないか」と反発。いじめの実態や自殺との因果関係を立証する責任は原告にあるとする市の姿勢を批判している。”

言うまでも無い事であるが、これは遺族側の主張が正しい。学校、更には教室は密室であり、保護者がその中身、実態を伺い知る事は不可能である。

従って、教室の統治は学校が責任を持って行う。教室の適正運営がされているのかを教育委員会が確認する事で、事故を防止する。そう言う建前で保護者を信用させ、ここまでやって来た筈である。

従って、生徒の自殺に際し、行き成り「卓袱台返し」、訴訟するのなら証拠を持って来いと開き直る大津市の神経と常識を疑う。

原点に帰って説明するならば、大津市は徴収した市民税の見返りとして、納税者に対し行政サービスを提供している訳である。謂わば、「市民」、「納税者」は顧客であり、顧客の正当なクレームに対して「難癖付けるな」と開き直っている様な本末転倒した話である。

飽く迄私の個人的な推測であるが、担任の教師は保身と怯懦から「虐め」の事実、実態を抱え込みマネージメントラインの上司に相談しない。

クラス運営の失敗は学校全体の責任問題となるので、学校は「虐め」と「自殺」の因果関係が立証出来ないと逃げの一手となる。自殺した生徒と、その家族に対し誠意の欠片すらない。そして、それを立証するのが自分達の本来業務であると言う、当事者意識の不在が顕著である。

教育委員会も学校の運営に責任がある立場なので、何とか事件をうやむやにしたい。従って、訳の判らぬ言い訳と誤魔化しの一手となる。更に、本来市民に寄り添うべき「市」も、同じ穴の貉である事が今回焙り出されたと言う所ではないか?

三日前のアゴラ記事、子供を学校に殺されない為に親は何をすべきか?で、私は下記の如く提案している。

“さて、問題はこの危険極りのない学校からどうやって我子を守るかである。第一に、先ず子供に学校は危険極りのない場所である事を教える事である。第二は、「虐め」は常態化しており、被害者になる事も充分に有り得、「特殊」な事でも「恥ずかしい」事でもなく、先ず親に報告する事を口を酸っぱくして教え込む事である。最後は、今回の様に「暴行」、「傷害」の被害者となったら、何をさておいても病院に直行し医師の診断を受けた後、「診断書」を作成して貰う事である。そして、被害に至った経緯と「暴行」、「傷害」の具体的な内容を纏めた文章と共に被害届として警察に提出するのである。念の為、コピーを準備しておき、今回の様に所轄が被害届を受理しないと言う事であれば、弁護士に付き添って貰い県警本部を訪問すれば良い。大事なのは、「学校」や「教育委員会」と言った、保身に捉われまるで張りぼての如く機能しない組織に相談し、時間を浪費している間に子供が自殺してしまう事を回避する為、「診断書」の如き客観的正当性のある「証拠」を警察に提出し、後は「司法」の判断に委ねる事である。”

これに付け加えるとすれば、「市」も全く頼りにならず、寧ろ敵であると言う誠に以て残念な事実である。

かかる地方行政の暴走に際し、「教育」全般の監督官庁である文科省は、本来一歩も二歩も踏み込んで問題の解決を前に進めるべきである。何分、省として鼎の軽重が問われている訳である。

しかしながら、読売新聞が伝える高井美穂副大臣のコメントを読む限り、全く問題の本質が理解出来ているとは思えない。

“文科省の高井美穂副大臣は5日の記者会見で「事実関係をしっかり確認したい」と語った。いじめと自殺の因果関係などを調べるかどうかについては「学校に主体的に決めてもらうことが基本。市教委と協力して現場で対応してほしい」と述べるにとどめた。”

繰り返しとなるが、問題の本質は、生徒が自殺に追い込まれた「教室」、その教室を統治する「学校」、そして「学校」を管理、監督する「教育委員会」が自らの保身の為に事実の「隠匿」と言う負の連鎖を続けている事である。

今回、「市」も又同じであり、全く以て期待出来ないと言う事が焙り出された訳である。従って、誰かが、何処かで、この負の連鎖を断ち切る必要があるのだが、文科省は指を咥え、傍観を継続すると宣言しているのである。

こう言う事であれば、親が体を張って我子を守るしかないのではないか?

山口巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

(山口 巌)

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制限すべき「いじめ側の人権」と、問うべき「親」の責任! – 北村 隆司
アゴラ 7月9日(月)16時3分配信

「いじめ」は、民主主義の一丁目一番地である「基本的人権」の侵害行為で、あってはならない事は論を待たない。

とは言え、成熟した民主国家では、人権とは何か? と言う「普遍的」問題が日常の会話にも浸透しているが、直接的には何の役にも立たない「抽象論」を嫌う日本では、一過性の個別具体的な問題で「賛否」を論ずるのは好きだが、人権の様な「普遍的問題」で論議を闘わせて、国民的同意に達する事は至難の業である。

この事を頭に入れた上で「いじめた側の人権は、どこまで守られるべきか?」を考えてみた。

私は、「いじめた側の人権を限定する」だけでなく、「いじめ側の親の責任」も追及すべきだと思っている。その客観的根拠は、「憲法」と「親権」である。

憲法では、「自由と権利は、国民の不断の努力によつて守られるもので、国民はこれを濫用してはならず、公共の福祉のために利用する責任を負っている。又、国民の権利は、公共の福祉に反しない事を前提に尊重する」と規定している。

「いじめ」が「公共の福祉に反する」以上、「いじめた側」の「人権」が制限されるのは当然であるが、大津市のいじめ問題の究明には、加害者、被害者だけではなく、教育行政当局と加害者側の「親権者」も含むべきだと思う。

それにしても、大津市教育委員会の「事実確認は可能な範囲でしたつもりだが、いじめた側にも人権があり、教育的配慮が必要と考えた。『自殺の練習』を問い ただせば、当事者の生徒や保護者に『いじめを疑っているのか』と不信感を抱かれるかもしれない、との判断もあった」と言う言い訳は、とんでもない話である。

そもそも、教育委員会は「いじめ」が起こる事だけで恥ずべき立場であり、「自殺」との因果関係とは関係無しに、「いじめ」の有無の調査を徹底的に行うのが最低の義務である。

「事実確認」は疑いがあるからするのであり、「疑うと不信感を抱かれる」と言う「触らぬ神にたたりなし」的な無責任な態度は許されない。ましてや「教育的配慮」とは何を指すのか理解不能で、ましてや、被害者が、憲法上の権利である「学問の自由の機会」を奪われた事実と「いじめ側に不信感を抱かれるかもしれない」と言う自己保身を同列に扱って、調査をさぼるなどは、実質的な職場放棄で、橋下市長であれば「懲戒解雇」という議論も起こったに違いない。

この様な、行政の怠惰と無能は別として、「加害者側」に人権がある事は当然であるが、どこまで認めるべきか? 結構難しい問題である。

守秘義務のある公務員が調査に当たるのだから、加害者側の「プライバシーの権利」が保障されるのは当然だが、「適正手続きに依る調査」や不法な調査で損害を受けたときは「損害の救済、公務員の罷免その他を自由に請願する」憲法上の権利も保障されるべきだと思う。

それ以外に加害者側に認められる人権は、司法の場でもない調査段階では、特に思いつかない。

通常、権利の裏には義務がある。成年に達しない子供を、管理、監護、教育するため、その父母に与えられた身分上および財産上の権利・義務を総称して「親権」と呼ぶが、「いじめ側」の親権者がこの義務を守っていない事は明白で、親権者の義務の履行実態も調査の対象にすべきである。

行き過ぎた儒教思想による家庭内の父親の専横から、母親や子供を解放する為に果たしたリベラルな報道の役割は評価しなければならないが、世相の変わった今でも、加害者側の子供の保護ばかりに偏り、被害者の人権や加害者側の親の義務を問わない記事の横行が、モンスター保護者やいじめ児童を大量生産した一因だと思うと、権利の裏に義務がある事を忘れた報道は百害あって一利無しである。

学校の破壊に悩むのは日本に限らない。校内暴力に悩む各国では、親権の概念を未成年保護から親の責任に軸足を移しつつある。

米国等では、教養教育(日本で言う道徳教育)や「画一的な価値観」に支配される学校教育を嫌い、子供を学校にやらず自宅で教育するホームスクールが激増している。

国が教育を支配する日本では、ホームスクールの実現は百年河清を待つに等しいが、子供の選択の幅を広げる「バウチャースクール」「チャータースクール(公立、民営校)」「マグネットスクール」等、公的機関の関与無しに子供の特徴を生かせる教育制度の実現に努力する事も、いじめをなくす為の親権者の義務の一環であろう。

完全撲滅は難しくとも、加害者の権利を抑制し、親の責任を重視する事と子供の学校選択を増やす事は、「いじめ」と「登校拒否」の減少に役立つのではなかろうか?

(北村 隆司)

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体育大会でリンチ…自殺中2いじめ、138回答
読売新聞 2012年7月9日(月)16時3分配信

 大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、市教委が自殺直後に全校生徒(約860人)に行ったアンケートの回答からは、生徒が受けた激しいいじめの実態や、心配する同級生らの前で平静を装って耐える様子などが浮かび上がってくる。

 市教委は、いじめを示す回答計335件の半数近くを「確証が持てなかった」として公表していなかった。いじめを止められなかった学校側の対応に、改めて批判が集まりそうだ。

 回答のうち「暴力」に関する記述は138件あり、「トイレで殴られた」「廊下でおなかを蹴られた」「鉢巻きで首を絞められた」「体育大会で集団リンチのようなものにあっていた」などと書かれていた。

 「金銭要求」は13件、「万引きをさせられた」が11件。自殺の練習をさせられるといった「暴言・嫌がらせ」は173件で、「おまえの家族全員死ね」と言われたり、ハチの死骸を食べさせられそうになったりし、顔に落書きされたとの回答もあった。

 昨年の夏休み明けから始まったとみられるいじめは、次第に激しくなり、生徒の異変に気付いた同級生もいた。「いじめられているのを隠すかのように、つらそうな笑顔をしているのを何度も見た」「口数が減っていたような気がした」などのほか、「2学期の中間テスト(死亡の直前)の頃、極端に元気がなかったので心配した」との記述も。

 生徒は、目の下にできた青あざについて「自分で殴った」と説明。同級生には「大丈夫」と言って平静を装っていたという。

 一方、回答からみえる学校側の対応はほとんど無策だった。「(生徒が)担任に泣きながら電話したが、翌日、担任から、加害者とされる生徒らの前で『大丈夫か』と尋ねられ、『大丈夫』と答えていた」とした後、「いじめている人の前で聞くのはおかしい」との教師批判も書かれていた。

 教諭らが「見て見ぬふり」をしていたとの指摘は、伝聞で15件。生徒への暴力やいじめは教室、廊下、校庭など人目に付きやすい場所でもあったとされるが、生徒からのSOS、同級生らが気付いた生徒の異変は学校側に届かなかったようだ。

 いじめを示す回答335件のうち、昨年11月に市教委が記者会見で明らかにしたのは、同級生らが実際に見聞きし、記名があった内容のみで、約半数。市教委は「伝聞や無記名の回答は追跡調査が難しかった。加害者とされる生徒に、教育的配慮から確認できなかった内容もある」としている。

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「自殺の練習はもともと嘘」 泣きながら語った校長に生徒が不信感
J-CASTニュース 7月9日(月)18時12分配信

 「自殺の練習があった」などと騒ぎになっている滋賀県大津市の市立中学校の在校生たちが学校や市の教育委員会の対応に不信感を募らせ、テレビ番組のインタビューで次々と、中学校で何が起こったのか証言し始めている。

 フジテレビ系ニュース番組「Mr.サンデー」(2012年7月8日放送)では、生徒が胸のうちを吐露した。

■事件について何も言わないように学校から指示

 番組では自殺した生徒の同級生男子が証言した。学校から今回の事件について何も言わないように学校から指示されていることを明かした。ただ、隠しているのはいけないと思った、と語り、いじめについてこう証言した。

  「トイレで暴行を加えたり、殴ったり、転がしたり、家の中をバーンって潰したり」

 男子生徒は11年10月に自宅マンションから飛び降り自殺した。当初、市の教育委員会や中学校はいじめがなかったと主張したが、11年11月に全校生徒に実施したアンケート結果からいじめがあったと認めたものの、今でも自殺との関連性はわからないと主張している。

 そして「自殺の練習」があったと16人の生徒がアンケートに記載していたことは発表せず、騒ぎになった後で、「自殺の練習」の記載はあったが、書いた生徒に確認はしておらず、あったかどうかはわからない、と発表している。

 同級生はこうも語った。

  「何も説明されていないです。学校から。やっぱ、不信感ありますね」

 アンケートについても、

  「無記名でもよかったんですけど、それだけやったし、そんな奥まで書いたやつは(先生から)聞かれたらしいけど、そんな詳しいところまで聞かれていない感じです」

とし、学校側の事実解明の取り組みに疑問を呈した。

■「泣きながら話すのは頼りないと思います」

 テレビ朝日系「モーニングバード」(2012年7月9日)でも、この中学の生徒の証言が放送された。

  「(自殺した生徒の)家族がいじめられていることを言ったらしい。でも、先生が軽く流して終わった」
  「担任の先生もその場にいたけど、見て見ぬふりをしていたということになっていて、この先生は大丈夫なのかと思う」

 そして、7月6日に校内放送で、校長が泣きながら全校生徒に語りかけたことも明かした。内容は、報道されている事には嘘が含まれていて、「自殺の練習」は隠していたのではなく、もともと嘘だと言ったというのだ。これについて生徒は、

  「何が本当で嘘なのかわからない。ちゃんと本当のことだけ教えて欲しい」
  「泣きながら話すのは頼りないと思います。正直はっきりさせて、みんなが安心して過ごせる学校になってほしい」

などと訴えていた。

 どうしてこのように学校は、事件の解明に消極的で、曖昧な発言を繰り返し、生徒たちの不安と不信を掻き立てることになってしまうのだろうか。

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越市長、いじめ撲滅誓う 大津 中学卒業式で涙の告白 
京都新聞 7月9日(月)22時9分配信

昨年、生徒が自殺し、いじめが発覚した中学校の卒業式で、命の大切さを語る越市長(大津市)

 滋賀県内の県立を除く公立中学校で13日、卒業式が行われた。昨年10月、いじめを受け、マンションから飛び降り自殺した2年の男子生徒が通っていた大津市内の中学校では、越直美市長がかつていじめを受けた経験を告白、卒業生や在校生に命の尊さを訴えた。
 越市長は、蹴られてできたあざを親に見られるのが嫌で風呂も怖かった体験を明かし、「小学3年生と高校1年のとき死にたいと思った」と振り返った。続けて「辛いことがあっても大人になれば世の中は広く、いろんな人と出会える」と述べ、亡くなった生徒にも伝えたかった、と涙をこらえながら語った。
 越市長は「4年間でいじめのない社会をつくる」と約束。卒業生261人に「明るく元気に暮らしてほしい」とメッセージを贈った。
 県内では13日、県立中学3校を除く97校で卒業式があり、卒業生は両親や恩師らが見守る中、通い慣れた学びやを巣立った。

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被害届、大津署が受理拒否 大津中2自殺
京都新聞 7月9日(月)22時39分配信

 大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=がマンションから飛び降り自殺した問題で、生徒が同級生から暴行を受けていた事実があるとして、父親(46)が昨年末にかけ3回にわたり警察に被害届を提出しようとしたが、大津署から受理を拒否されていたことが4日、関係者への取材で分かった。
 男子生徒への暴行については、自殺後の昨年10月中旬に学校が全校生徒に実施したアンケートで、44人が記名の上、「体育大会で集団リンチに遭っていた」「万引をさせられ、殴る蹴るの暴行を受けていた」などと具体的な証言を行っている。
 男子生徒の父親は、複数の同級生から独自に聞き取った暴行の証言と学校の調査結果を基に、少年が自殺した後の昨年10月に2回、同12月に1回、大津署に出向き、暴行容疑の被害届を提出したいと申し出たという。しかし、関係者によると、対応した署員は「犯罪としての事実認定ができない」として受理を断ったという。
 父親は大津署の対応について「真相究明のために、死んだ息子に代わって被害届を出したかった。どうして受理してくれないのか」と憤る。同署は「一切、答えられない」としている。

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「いじめあった」189件 大津中2自殺アンケート
京都新聞 7月9日(月)23時19分配信

 大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、同市教委が全校生徒約860人に対して行ったアンケートで、男子生徒が暴力のいじめを受けていたとする回答が189件あったことが9日、関係者への取材で分かった。ほかにも恐喝や金品要求、自殺の予告に関する記述も複数あった。
 市教委はアンケートの回答について昨年10月、記名回答の生徒から聞き取り調査を行った。調査結果について同11月、暴力や蜂を食べさせるなどのいじめがあったことは公表したが、直接目撃があっても無記名の回答は、その大半が「確証が得られない」として調査を打ち切り、内容も公表していなかった。

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