滋賀・いじめ自殺訴訟 同級生側「じゃれ合っていただけ」
フジテレビ系(FNN) 2012年7月17日(火)18時2分配信
滋賀・大津市のいじめ自殺問題で、17日、注目の2回目の口頭弁論が行われた。これまで、自殺といじめの因果関係は認められないとしてきた市の対応に、大きな変化があったが、加害者側は何の変化もなかった。
大津市側弁護士は「学校、教育委員会の調査、および公表が不十分だったために、事件があった中学校の在校生およびその保護者の皆さん、そして何よりも、ご遺族さまや、絶望の淵にあって、死を選ばざるを得なかったご本人様に、大変ご迷惑をおかけしました。大津市長に代わって、深くおわび申し上げます」と話した。
「市長に代わって深くおわびします」と話し、深々と頭を下げたのは、訴えられている滋賀・大津市側の弁護士。
自殺した男子中学生の両親が、市や同級生らに損害賠償を求めている裁判で、17日、2回目の口頭弁論が行われた。
市が責任を認めるのか、注目の裁判ということもあって、大津地裁の前には、多くの報道陣が集まった。
さらに、36席という一般傍聴券を求めて、多くの人が列をつくった。
この裁判の争点は、男子生徒の自殺と、いじめとの因果関係。
これまで、大津市の教育委員会は、いじめがあった事実は認めながらも、「いじめが原因で自殺したとは判断できない」と、争う姿勢を見せていた。
しかし、大津市の越 直美市長は10日、「まずは、事実を明らかにするように最大限努力をしたうえで、それから和解をしたいと思っています」と、和解の方針を表明していた。
そして、17日の口頭弁論で、大津市側は「今後、いじめと自殺の因果関係を認める可能性が高い。和解協議をしたいという意思もあるが、第3者委員会と警察の調査結果が出るまで待ちたい」と、これまでの主張を変更した。
閉廷後、市役所で取材に応じた越市長は、あらためて、「裁判所で因果関係を立証するのは、原告側(遺族側)としては、非常に大変なことだと思っています。因果関係があったんだというような前提に立って、必要な調査を十分やっていければというふうに思っています」と話した。
こうした大津市側の主張の変更に、原告側(遺族側)は、会見で「教育委員会と市長との意見が食い違っている。そういう状況の中で、市長が『因果関係を認めた』、その点については、評価をしております」と述べた。
一方で、男子生徒の両親から、同じく損害賠償を求められている同級生側。
17日の口頭弁論で、大津市は、これまでの主張を一転させたが、同級生3人は「じゃれ合っていただけ」と、いじめそのものについて否定した。
こうした同級生側の主張について問われた越市長は、「文科省の定義に照らして、『いじめというのは、されている本人が苦痛を感じる』というようなことですので、それに対して、加害者とされる側が、どう思っていたとしても、大津市としては、それはいじめにあたるというふうに判断したということです」と述べた。
野田首相は16日、「FNNスーパーニュース」に出演し、「いじめられている子がいらっしゃるとするならば、ぜひお伝えしたいことがあります。あなたは1人ではありません。あなたを守ろうという人は必ずいます。それを信じて、お父さん、お母さん、先生、友達、誰でもいいから相談してください」と話した。
16日、「FNNスーパーニュース」に生出演した野田首相が送った「周りに相談してほしい」というメッセージ。
17日の法廷には、まさに、そのことを悔いる1人の男性がいた。
滋賀・守山市の小林 恵さん。
小林さんは「突然、きのうまで元気だった子どもが、急にいなくなるんですよね。その気持ちは、ほんま、死んだ子を持つ親でないと、わからないですよ」と話した。
小林さんは、3年前に自ら命を絶った娘・愛由(あゆ)さんの遺影を携えて、傍聴に訪れていた。
小林さんは「(中学2年生?)そうです。(男子生徒と)同じ13歳でした」と話した。
2009年、当時中学校2年生だった愛由さんは、部屋に遺書を残し、自宅近くのマンションから飛び降りた。
小林さんは「(遺書には何と?)お父さん、お母さん、お世話になりました。ありがとうと書いてあった。子どもが『ありがとう』と言って死んでいくんかなと。人間の命は、こんな軽いもんかなと思いましたね」と話した。
小林さんは、その後、愛由さんが自殺した原因を究明しようとしたが、ほかに手がかりはなく、真相には、たどり着けなかったという。
小林さんは「いまだに、(自殺の理由は)はっきりわからないんです。態度でも出てこないことがあるので、きょうは何かなかったかと、聞いてやることが、わたしはしたかったです…。まさか自分の子どもが自殺するなんて、誰も考えないので…」と話した。
そうした中で報道された大津市の事件。
小林さんは、わが子を自殺で亡くした親として、今回の男子生徒について、その理由が解明されるべきだと、強く願っている。
小林さんは「(法廷で男子生徒の父親の様子は?)つらそうな顔をしていました。前を見て、ずっと…。頑張るぞ、耐えるぞという感じですね。そうせな、しょうがないんじゃないですかね」と話した。
同じ痛みを持つ親の気持ち。
17日の口頭弁論を終え、男子生徒の父親は、弁護士を通じて、胸中を明らかにした。
原告側弁護士は「わたしたちは、息子が自殺しなければならなかったほどのいじめとは、どういうものであったのかということを問うために、今回の裁判を起こしました。1日も早く事実が解明され、1日も早くその原因が究明され、1日も早く真に有効な対策が講じられ、1人でも多くのいじめに悩む生徒さんを救えることを望みます」と、父親のコメントを発表した。
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大津・中2自殺訴訟、市側が和解の意向
TBS系(JNN) 2012年7月17日(火)19時3分配信
滋賀県大津市でいじめを受けていた中学生が自殺し、両親が市や同級生らに損害賠償を求めている裁判で、市は争う姿勢から一転、事実上、和解を申し入れました。
「絶望のふちにあって死を選らばざるをえなかった、ご本人様に大変ご迷惑をおかけしました」(大津市側の代理人)
およそ340人が傍聴席を求めた注目の裁判。自殺した中学2年の男子生徒の両親が「原因はいじめ」として、大津市と同級生3人の側におよそ7700万円の損害賠償を求めているものです。
大津市はこれまで「いじめが自殺の原因とは断定できず、過失はない」と主張してきましたが、学校や教育委員会の調査がずさんだったことが裁判の過程で明らかになりました。
17日の法廷で、大津市は「和解の協議をしたい」と従来の主張を撤回。「第3者委員会の調査や警察の捜査結果を踏まえたい」として、裁判の期日の延期を申し入れました。
「これまでの学校と教育委員会の調査が不十分だったことについては、改めて亡くなられたお子さんとご遺族に深くおわびしたい。(因果関係が)あるという前提で調査をしたい」(大津市・越直美市長)
一方、これまで市長と見解の食い違いが見られた教育委員会も・・・。
「市長も申し上げたとおり、いじめが自殺の一因である可能性は高い」(大津市の教育長)
閉廷後、遺族側の代理人が、男子生徒の父親のコメントを読み上げました。
「『もしかしたら息子は学校に見殺しにされたのではないか』との気がしてなりません。子どもたちを教育する立場の責任者であるにもかかわらず、自らを律して事実を明らかにしない、その姿勢に憤りを感じ」(原告側代理人)
一方、法廷で同級生側は「いじめ行為はない」の主張を変えませんでした。男子生徒の父親は、18日にも同級生らを暴行の疑いで刑事告訴するということです。(17日17:47)
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「いじめをしない、させない、見逃さない、許さない学校」 いじめ自殺の中学校は「道徳教育先進校」だった
J-CASTニュース 2012年7月17日(火)19時32分配信
滋賀県大津市内の中学生に通って2年生の男子生徒=当時13=が2011年10月に自宅マンションから飛び降りて自殺した問題で、滋賀県警が12年7月12日、学校と市教委を家宅捜索する事態にまで発展した。この日行われた保護者向け説明会でも、保護者からは「誠意が伝わらない」などと不満の声が続出。中学校への信頼は地に落ちた形だ。
実はこの学校は、つい数年前までは、道徳教育の研究事業の「推進校」に指定されていた。現在でも、ウェブサイトには、いじめ防止に関するスローガンが掲げられているが、今回のような事態が起きた以上、「実践は、一体何だったのか」ということにもなりかねない事態だ。
■09年から10年にかけて道徳教育実践研究事業」推進校に指定
新学習指導要領の12年度からの完全実施を前に、この学校では、道徳教育については09年度から新カリキュラムを先行実施している。さらに、09年から10年にかけて文部科学省から「道徳教育実践研究事業」推進校に指定され、道徳教育については先進的な取り組みをしていたはずだった。
によると、09年度は道徳教育についての知見がある外部講師を呼んで授業研究を行い、10年度はロールプレーやグループ活動を通じて、実際の授業力向上に取り組んだという。
「いじめ」という言葉が報告書に登場する回数は多くないが、指導計画の中には、授業のねらいとして
「見て見ぬふりをする消極的姿勢を憎み、いじめや不正を断固として許さぬ心を行動で表す実践意欲を培う」(1年生)
「いじめの愚かさ知り、差別、偏見を憎み、不正な言動を断固として許さない態度を育成する」(3年生)
といった文言が確認できる。
報告書では、2年間の成果を
「少しずつではありますが、子どもたちの心に響く道徳の時間になり、一人一人が自己を見つめ、自己肯定感、自尊感情を高め、『よりよく生きようとする心』、『共に生きようとする心』の和が広がってきたのではないかと思います」
などと振り返っている。
■「推進校」指定終わっても「ストップいじめアクションプラン」掲げる
「推進校」の指定が終わった12年度もウェブサイトに
と題した文書を掲載。
「いじめをしない、させない、見逃さない、許さない学校」
とのスローガンを掲げている。その中で、教職員のアクションとして
「いじめ等の問題行動の早期発見早期対応(月一回のアンケート調査の実施)」
「機会をとらえた適切な指導」
といった事柄が羅列されているが、自殺者が出てしまった以上、これらが適切に行われたとは考えにくい。
なお、「推進校」に指定されていた09年から10年に文部科学大臣を務めていたのは、滋賀1区選出の川端達夫衆院議員(現総務相)。滋賀1区は、問題の中学がある大津市を中心とする選挙区だ。このことから、中学校への対応が後手に回っている背景について
「その(推進校指定の)成果が上がったとしたもんだから、そういう学校からは死んでもイジメが出たりしてはいけなかったというわけか」(自民党・義家弘介参院議員)
といった見方も出ている。
また、自殺といじめの関連を否定し続けていた沢村憲次教育長は、この中学校の校長を務めたことがある。このことも、問題解決を遅らせる一因になっているとの指摘がある。
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「非難FAX殺到で被害届」報道、ネットで騒ぎに 大津市教委「人権無視の内容」があった
J-CASTニュース 2012年7月17日(火)19時42分配信
中2男子生徒自殺を巡る対応が悪いと滋賀県大津市教委に非難のFAXが殺到したことに対し、市教委が被害届を出すことを検討していると一部で報じられ、ネット上で異論が相次いでいる。しかし、市教委では、警察に相談するだけの事情があるとしている。
「被害届検討」の一報が流れたのは、大阪・朝日放送(ABC)の2012年7月17日付関西ニュースだった。
■「500枚以上届き、業務に支障」
それによると、先週から7月16日まで、教育長名などを挙げて市教委の対応を非難するFAXが500枚以上届いた。その結果、市教委の回線がふさがれ、業務に支障が出たとして、警察に相談しており、被害届を出すかどうかを検討しているという。
これがウェブニュースとしても流れると、ネット上で、とたんに怒りの声が渦巻いた。男子生徒の自殺が家庭内の問題でもあるかのように会見で答えたことが反感を呼んでいただけに、「改善に努めるのが仕事だろうに」「被害届とか何考えてんだ」「抗議も出来ないのかよ?」などと火に油を注いだような騒ぎになっている。
これに対し、市教委の教育総務課では、単に非難が相次いでいることを業務の支障と考えているわけではない、と説明する。
■特定の一個人から一度に大量に
説明によると、ある特定の一個人だという大阪の男性から、一度に200〜300枚もFAXが送りつけられてきたという。それも、市教委の対応について意見を言うばかりでなく、会見に出た幹部らの顔や容姿を罵倒するような酷い内容だったそうだ。脅迫まではいってないもののそれに近い内容もあったといい、市教委の教育総務課では、「本筋から離れた誹謗・中傷で、人権を無視するようなものでした」としている。
そこで、この男性に電話をして、「対応についての意見はお聞きするので、大量にFAXを送るのは止めてほしい」と要請し、一度警告した。しかし、さらに過熱する気配があったため、2012年7月16日になって警察に相談したとした。男性は、有限会社に所属しており、会社のFAXを使っていた。
ただ、朝日放送で報じられた効果もあってか、17日は夕方までにFAXは来なかったとした。警察に被害届を出す予定はないとしたが、もし警告する事態が続くなら検討すると言っている。
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大津の生徒自殺、いじめ以外の要因も…市教育長
読売新聞 2012年7月17日(火)20時25分配信
大津市の沢村憲次教育長は17日、市役所で記者会見し、男子生徒が自殺した背景について「個人的、家庭的な要因もあったと、学校から聞いている」と述べ、いじめ以外の要因があったとの見方を示した。
具体的な内容については「個人情報であり、警察や市の外部委員会で調べていくものだ」と言及を避けた。
この発言に対し、遺族側は「責任の所在をすり替えようとしている」と憤りをあらわにしている。
また、沢村教育長は記者会見で、遺族が起こしている損害賠償請求訴訟について、「外部委員会の調査で、いじめと自殺の因果関係が示されるのではないか。それを受け、和解協議をさせてもらいたい」と話し、これまで「裁判を続行したい」としていた態度を修正した。
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いじめに悩む生徒救って…生徒の父、全国に訴え
読売新聞 2012年7月17日(火)22時7分配信
大津市で昨年10月、いじめを苦に自殺したとされる市立中学2年の男子生徒(当時13歳)の父親(47)は17日、大津地裁で開かれた市などに対する損害賠償請求訴訟の第2回口頭弁論の後、思いをつづった談話を代理人弁護士を通じて公表した。
談話は、改めて市側への不信感を表すとともに、「一人でも多くのいじめに悩む生徒さんを救えることを望む」と全国の教師らに訴えた。
談話の中で父親は、訴訟を起こした理由について、「息子が自殺しなければならないほどのいじめとはどういうものだったのか」「安全な学校を実現するためにはどうすれば良いのか」ということを問うためだったとした。
また、「息子は学校に見殺しにされたのではないか」「子どもを教育する立場なのに、事実を明らかにしない姿勢に憤りを感じる」とこれまでの市教委や学校側の対応を批判。いじめの再発防止は「学校任せでは限界がある」と指摘した。
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子どもの孤立化防止へ、県・県教委 大津中2自殺
京都新聞 2012年7月17日(火)22時59分配信
大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺し、いじめとの関連が指摘されている問題を受け、滋賀県と県教委は17日、子どもの孤立化を防ぐシステムづくりや学校のリスク管理などを柱とする対策を検討する方針を明らかにした。本年度中にも報告書をまとめる。
一連の問題で失われた教育への信頼回復を目指す。県教委が今年1月に改訂したをたたき台とし、核家族や離婚家庭が増えている社会背景を踏まえ、いじめ被害者の声が届くシステム構築を目指す。学校内部のガバナンス(統治)体制も検証し、事件や事故も含め児童・生徒の命を守る体制を考える。
県教委や県子ども・青少年局などの職員で今月11日に立ち上げた「いじめから子どもを守るための緊急対策チーム会議」を議論の場として当面継続する。
教育心理学や家族社会学の専門家をメンバーに加えることを検討している。
児童福祉の観点から県も協力し、社会全体で子どもを見守り、被害に気付いた段階ですぐに行動を取れる仕組みを模索する。
嘉田由紀子知事は「まずは真相究明が必要だが、その後しっかりと(問題の)出口を示すことで県民の誇りを取り戻したい」と話している。
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大津の中2男子自殺受け、みんなの党・江田氏が教委制を厳しく批判
カナロコ 2012年7月17日(火)23時15分配信
「能力がない教育委員は即刻辞表を」―。みんなの党の江田憲司幹事長(衆院8区)は17日の会見で、大津市の中2男子自殺を受け、現行の教育委員会制度を厳しく批判。再発防止を図るため、抜本的な改善の必要性を訴えた。
江田氏は大津での対応について、「会見に出てくるのは教育長で、教育委員長、委員が何をされているのか、まったく見えてこない。これに象徴される教育委員会の形骸化が指摘されて久しい」と強調。
教育委員が非常勤かつ兼職可であり、地域の名士というだけで任用されることが全国的にあるとして、「今回の事件を契機に省みて、能力がない、知見のない、自覚のない委員は即刻辞表を出していただきたい。首長も原点に立ち返り、どういう方が適材か、委員の人選も見直していただきたい」と指摘した。
大津市長は、いじめと自殺の因果関係を再調査するため、第三者による委員会を設置する。江田氏は「こういう役割を担うべき組織がまさに教育委員会。教育委員会が駄目だから、わざわざ市長が調査委員会を設けなければならないところに、教育委員会制度の根本的な問題が内在している」と断じた。
みんなの党は4月、教育委員会の必置規制を廃止し、各地方自治体の判断で、設置するかどうか決められることなどを盛り込んだ法案を提出している。「今回の事件を教訓にして、国会も対応策を出していかないといけない」と力説した。