堀越学園:大島氏側・堀越氏側、歩み寄りの気配なく 学長室支配巡り /群馬
毎日新聞 2012年7月31日(火)13時28分配信
混乱が続く学校法人堀越学園(高崎市、大島孝夫理事長)で、学長・理事の地位保全仮処分が認められた堀越哲二元理事長側が25日、創造学園大学長室の電子ロックのパスワードを変更してから1週間になる。原状回復などを求める大島氏側に対し、堀越氏側は新パスワードをメール送信したが、お互い正当性を主張する双方が歩み寄る気配はない。経営が日増しに悪化していると言われる中、時間ばかりが過ぎていく。【増田勝彦】
同市吉井町岩崎の中山キャンパス。1号館の玄関右側に「応接室」「学長室」「理事長室」が並ぶ。「部屋の主」は中央の学長室のドアから出入りし、両側の部屋へは内部のドアで行き来する。理事会も長年ここで開かれ、「学園経営のシンボル的存在」と教職員は口をそろえる。
今年1月10日、堀越氏の学長・理事の解任などを決議した理事会もこの部屋で開かれた。その解任を発表する記者会見の傍らで、学長室のドアには、従前の鍵に加え電子ロックがつけられた。「堀越氏の入室を封じるため」と理事は説明した。
堀越氏は1977年9月に同学園理事に就任。学園を創設した堀越久良、嶋子夫妻は周囲に「親類」と説明したという。創造学園大の前身の短大が81年に開校すると副学長となり、その後久良氏から学長職を引き継いだ。2002年11月、久良氏の養子となって堀越姓に変わり、06年6月に久良氏が亡くなると理事長に就任した。ここは、堀越氏にとって長年の「城」だった。
一方、大島氏は10年春、学園に関係する弁護士の仲介で堀越氏と初めて会ったという。一時は堀越氏との間で「米国キリスト教団の資金で、学園を再建する」との話が進んだが、半年ほどで立ち消えの状態になった。昨年暮れ、複数の理事の接触を受けて支援話が復活、今年2月10日に理事長に就任した。それから5カ月あまり経過したが、教団からの資金提供は実現していない。
5月21日、前橋地裁高崎支部で堀越氏の学長・理事の地位保全などを認める仮処分決定が出されると、堀越氏側理事らが再び学園に来るようになった。当初は会議室などで打ち合わせをしていたが、7月21日には初めて学長室で理事会を開いた。解任決議されてから初めてという。関係者は「大島氏側の理事がその場にいて対応しなければ、職員は指示に従うしかない」と指摘したが、その後も大島氏側理事が詰めることはほとんどなかったという。
25日、大島氏側が東京都内で理事会を開催している間に、堀越氏側は学長室の電子ロックのパスワードを変更。同じく解任時に替えられた財務室の鍵も交換した。これにより堀越氏側が主導権を取り戻した、との見方が学園内では強い。
「大島氏側理事が来たら、どこにいるつもりなのだろうか」。教員の言葉が、学園の現状を象徴している。
7月31日朝刊