閑想閑話:十数年前、他県で中学生のいじめ自殺を取材した… /島根

閑想閑話:十数年前、他県で中学生のいじめ自殺を取材した… /島根
毎日新聞 2012年7月31日(火)16時7分配信

 十数年前、他県で中学生のいじめ自殺を取材した。被害生徒は連日の暴行と恐喝を受けており、大人なら実刑でもおかしくない事件だった。同級生らは加害生徒を恐れ付和雷同するか沈黙、学校は「覚知していない以上いじめは存在しない」との姿勢だった▲その学校には、他人を平気で傷つける加害者、消極的に荷担する多数の生徒、無責任な教師がいた。一方、被害生徒は単独で、これら圧倒的多数と向き合うことが強いられた。被害者が命を絶った最終的な動機は「孤立感による絶望」だった▲大津市など全国でいじめが報道されている。「いじめられる側ももっと強くなれ」という声もあるが、理不尽な集団の中で戦う子どもにそれを求めるのは酷だ。休学や転校も恥ではない。味方になってやる、手助けをしてあげることが、大切な命を守る大人の第一の責務だと思う。【鈴木健太郎】

7月31日朝刊

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