練習中、誰も気づかず 新津高野球部員死亡で校長会見 新潟
産経新聞 2012年8月2日(木)7時55分配信
県立新津高校(新潟市秋葉区)の1年生野球部員が、ランニング中に熱中症で死亡、学校は翌日まで気づかなかった事故で、同校の小林篤子校長が1日記者会見した。「校長として万死に値するが、今後の対応に努める」と陳謝し、顧問らからの聞き取りで判明した経緯を説明した。野球部は当面、活動を自粛。県から派遣されたカウンセラーが部員のケアに当たる。
小林校長の説明によると、野球部員は36人のうち、7月28日は1人欠席し1年生18人、2年生17人が練習に参加。午後1時半ごろ、学校の周辺にある秋葉公園周辺を走る約10キロのランニングに出発した。
途中、折り返し点で顧問の監督、部長、マネジャーが待機し、給水と同時に人数や状態を確認。苦しそうな1年生2人にはストップをかけていた。亡くなった部員は、このときは無事が確認されているという。
午後3時ごろに、顧問は全員が校内に戻ったと思い、「みんな、いるか」と声をかけたが、一人ずつ名前を呼ぶ点呼はしなかった。従来名前を呼ぶ点呼は行っておらず、小林校長は「顧問から部員へ、上級生から下級生へと、指揮命令系統がしっかりしていることへの思い込みがあった。不十分だった」と不備を認めた。
ランニング後は、キャッチボールなど軽い練習を午後6時ごろまで行い、翌日に練習試合が予定されていたため、午後7時ごろまでグラウンド整備をして練習を終えた。この間も、亡くなった部員がいないことに誰も気づいていなかった。部室には部員の荷物が残っていたが、部室の管理は生徒に任され、教員が見回ることはないという。
炎天下でランニングを実行したことについては「真夏に38度を超えるグラウンドで戦う体力は必要だが、命が失われては何もならない。走る時間帯などを考えなければいけない」と苦渋の表情を浮かべた。