大津市 いじめ自殺 8月11日分

<大津いじめ自殺>外部委、25日初会合 調査員が聞き取り
毎日新聞 2012年8月11日(土)3時0分配信

 大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、市が設置する外部調査委員会の初会合を25日に開く方向で最終調整していることが、関係者への取材で分かった。委員の人選も教育評論家の尾木直樹・法政大教授ら6人が内定しており、人選などで遺族の意向も踏まえた異例の外部調査委が始動する見通し。

 市は遺族側に、聞き取りなどの調査実務を担う調査員を置くことを盛り込んだ要綱案を示している。調査員は「学識経験など専門性を有する人」を想定。市と利害関係のない人に委嘱するという。遺族側は25、26日の2日間開くことを要望している。

 内定した委員は市と遺族側双方が3人ずつ推薦。市側は滋賀県臨床心理士会会長の野田正人・立命館大教授、元裁判官の横山巌弁護士(大阪弁護士会)、桶谷守・京都教育大教育支援センター教授を、遺族側は尾木氏に加え、和歌山大の松浦善満教授、渡部吉泰弁護士(兵庫県弁護士会)を挙げている。市は委員就任の条件として公平な調査をする承諾書の提出を求める。

 初会合では委員長を選任し、外部調査委の運営方法や調査範囲などを決める見通し。市は委員全員が出席できる日を調整していた。

 外部調査委は学校で起きたいじめの事実解明を目的とし、月2回のペースで開催、年末までに最終報告書をまとめる。越直美市長はいじめが自殺に与えた影響や、教員の見逃しなども調査対象に加える方針を示している。【千葉紀和】

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大津いじめ “加害”同級生の教諭暴行 「被害届出すべきだ」滋賀県教育長が大津市教委批判
産経新聞 2012年8月11日(土)3時45分配信

 大津市で自殺した市立中学2年の男子生徒をいじめていたとされる同級生の1人が今年5月、担任の女性教諭に暴行、重傷を負わせたのに学校と市教委が警察に報告していなかった問題で、滋賀県の河原恵教育長は10日、「学校の暴力行為でけがをした事案は警察と連携する必要がある。被害届を出すべき」と市教委を批判したが、市教委を説得することには消極的な姿勢をみせた。

 河原教育長は定例会見で、女性教諭への暴行について、6月下旬に市教委から「生徒指導上の理由で警察に被害届を出さないと判断した」との連絡があったと説明。そのうえで、県教委側が警察に被害届を出すよう求めたものの、市教委が応じなかったとした。

 一方で、「(暴力行為が)だめという毅然(きぜん)とした対応が必要」と警察への被害届の必要性を強調したが、「被害届を出すかどうかは最終的には市教委の権限。6月に県教委の考えは十分に伝えている」と述べ、今後再び市教委の対応を変えるよう促すことには否定的な考えを示した。

 女性教諭は今年5月下旬、中学校の体育館で、同級生が暴れていたため止めに入ったところ手を殴られ、小指を剥離(はくり)骨折。全治約1カ月の重傷を負った。

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住民協力の組織設置へ 県教委、いじめ問題受け 滋賀
産経新聞 2012年8月11日(土)7時55分配信

 大津市の中2男子自殺問題を受け、県教委は10日、地域住民に学校のいじめ対策で協力してもらう「学校支援地域組織(仮称)」の設置方針を明らかにした。今月中に立ち上げ予定で、嘉田由紀子知事が本部長を務める「いじめ対策本部」で具体的内容を検討する。

 県教委によると、地域住民に各学校の花壇の植栽や図書館の書籍整理、登下校中の交通安全指導などへの参加を依頼。こうした活動の中で、児童・生徒の悩みや本音などを聞き出し、問題があれば学校に連絡してもらうことを想定している。

 また、県教委は、各学校にいじめ対応を専門的に担う人員の配置も検討している。配置は教員を基本とするが、人員が不足している場合は教員OBやスクールカウンセラーをあてることもある。

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中2自殺 「対応不十分責任感じる」 大津市教育委員長が謝罪
産経新聞 2012年8月11日(土)7時55分配信

 大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、大津市教育委員会の岡田隆彦教育委員長は9日開かれた8月定例会で、「委員長として対応が十分でなかった。責任を感じている」と謝罪した。この問題で岡田教育委員長が公式の場で発言するのは初めて。

 この日の定例会では冒頭、委員らが男子生徒に黙祷(もくとう)。委員の1人である澤村憲次教育長は「学校は混乱した中、授業を続ける一方短期間で調査を求められ、その結果が不十分なものだった。自殺直後から市教委が主体となって学校と調査すべきだった」と、自殺後に実施した学校と市教委の調査を反省した。

 定例会終了後、岡田委員長は、「非常勤とはいえ公の場に出るのが遅かったといわれてもしかたない。ただ仕事を抱える私ができる範囲のことはしたと思う」と釈明。教育委員会制度については、「子供目線で教育のあり方を考えるために必要な制度」と強調した。

 教育委員会は事務局が実際の事務を行っているが、中枢組織は首長に任命された教育委員(おおむね5人)で構成される。大津市でも教育委員は5人で、教育委員長がトップ。教育長は委員の1人だが、実際の事務の責任者になっている。教育長を除く4人の委員は非常勤で、ほかの職業を持っている。5人の委員による定例会は月に一度行われる。

                   ◇

 8月の定例会では、いじめの防止などに取り組む「いじめ対策検討委員会」を設置することが決まった。

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大津いじめに教育長「家庭に問題あるなら学校が騒いではだめ」
NEWS ポストセブン 2012年8月11日(土)16時6分配信

 次々と“教育ムラ”の隠蔽体質が明らかになる滋賀県大津市のいじめ自殺問題。ジャーナリストの鵜飼克郎氏が、役人たちの“事なかれ主義”の実態を報告する。そして、同氏は澤村憲次・大津市教育長にインタビューを行った。

 * * *
 7月4日、テレビや新聞が、存在すら公にされていなかった2回目のアンケートの回答内容を報じると、校長はすぐさま反応した。朝の校内放送で「報道内容には嘘がある。自殺の練習は嘘です。マスコミの人の質問には答えないように」と生徒たちに言い訳し、口止めまでした。

 事実が露見しても、組織防衛を続けた。生徒たちはそれを見抜いていた。「新聞に出るたびに先生の言うことがコロコロ変わる。嘘をついているのは校長先生のほうだとみんなわかっている」(中1男子)

 そして、この状況でなお、「いじめ以外の家庭での問題がある」と主張を続けたのが、澤村憲次・大津市教育長だった。同氏への直撃取材では、こんなやりとりもあった。

――なぜこの期に及んで「男子生徒の家庭に問題があった」と言うのか。

「(家庭の問題は)具体的に言えない。いろいろ誤解を招いていることはわかっているが、学校からは亡くなったお子さんの家庭環境に問題があると聞いている。学校に関係すること、本人に関係すること、家庭に関係すること、この3つを調べなさいと文科省は指導しています。学校については私たちが調べるが、他の2つは調べられない。警察や外部の第三者委員会が明らかにしていくわけだが、全体を見ないと真相がわからないのでは、と言っているのです」

――いじめはあった?

「我々はいじめがあったと認めている。ただ、加害者の子供たちは、遊びやゲームの中のことでいじめだと認めていない。そこは私もわかりませんが、文科省が言っているいじめに該当するでしょうから、いじめはあったと思っています。学校は、亡くなるまでいじめがあったという認識がなかったというから、なかったのだと思います」

 周到に「文科省が…」「学校が…」といったフレーズを挟み込む。声を荒らげることもない。「命の重みを感じて対応しているのか」という問いに対してはこう答えた。

「当然のことながら、一報を聞いた時にどうしちゃったんだ、何があったんだと驚きました。ただ、ご遺族から『これは学校の問題じゃない。家庭の問題なので表に出さないで欲しい』と申し出があったと聞いている。もし家庭に問題があるなら、学校が大騒ぎしてはいけないと判断した。3日目になってご遺族から『いじめがあったのではないか』と申し出を受けた。校内でも生徒たちが2日目から『いじめがあったのでは』と騒ぎ始め、学校も調査を始めたということだった」

 嘘だと断じるのは厳しすぎるとしても、少なくとも問題を大きくしないほうへと逃げようとした印象は拭えない。

※SAPIO2012年8月22・29日号

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大津・中2自殺:いじめ対応の専任者配置へ 県教委が補助検討−−教育長方針 /滋賀
毎日新聞 2012年8月11日(土)16時24分配信

 大津市立中学2年の男子生徒が自殺した問題を受け、河原恵(さとし)・県教育長は10日の定例記者会見で、学校にいじめ対応の専任者を新たに配置する方針を明らかにした。児童や生徒に目を配り、いじめの早期対応につなげるため。教員やスクールカウンセラーらの増員を想定している。
 県教委によると、嘉田由紀子知事を本部長とする対策本部の初会合が今月末にも開かれる予定で、その中で協議する。対象校や配置の人数、職務内容などは未定。市町教委が採用し、県教委が人件費を補助することを検討している。今回の問題を受けたこれまでの緊急対策会議で、県内公立校で学期ごとに実施しているいじめに関するアンケート結果の分析や、校内巡回、家庭訪問などに専従する教員の全校配置が提案されていた。
 一方、河原教育長は会見で、男子生徒をいじめたとされる同級生1人が女性教諭に重傷を負わせていた件について「被害届を出さないと判断した経緯を改めて市教委に確認している」と述べた。【加藤明子】

8月11日朝刊

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