<出席停止>いじめ原因で適用、6教委…毎日新聞調査

<出席停止>いじめ原因で適用、6教委…毎日新聞調査
毎日新聞 2012年8月17日(金)21時52分配信

 大津市の市立中学2年の男子生徒が自殺した問題を受けて、いじめを続ける児童・生徒を出席停止にする措置への注目が集まっている。47都道府県と20政令市の教育委員会を対象にした毎日新聞の調査では、6教委が「近年適用したケースがある」と明らかにし、別の6教委が「今後は選択肢の一つ」などと前向きな姿勢を示した。一方、「教育上好ましくない」と慎重なのは5教委だった。50教委は中立または態度を明確にしなかった。

 調査は出席停止について、過去に例があるか、検討しているかを尋ねた。

 神奈川県では、10年度に中学生6人が5日間の出席停止処分を受けた。県教委によると、重大ないじめが長期間続いたため、地元の教委が6人の保護者と話し、「最適の指導」と判断したという。県教委は「出席停止によっていじめが解消され、6人の反省を促した」と説明する。このほか、埼玉県・三重県・徳島県・福岡県・さいたま市の各教委も「適用例がある」と回答した。

 また、宮城県教委は「大津の問題発覚後、出席停止も含めていじめに対応する姿勢を確認した」。名古屋市教委は「今後は選択肢の一つ」とし、京都府・大阪府・山口県・横浜市の教委も積極的な姿勢を見せる。

 一方、京都市教委は「緊急避難的な措置で、即座に適用することは教育上好ましくない。慎重な検討がいる」と指摘。岩手県・新潟県・岡山市・北九州市の教委も消極的だ。

 文部科学省は積極的に検討するよう求めているが、いじめを理由とした出席停止(01〜10年度)は全国で23件にとどまっている。【まとめ・林田七恵】

 ◇公立小中学校の出席停止

 いじめや暴力などを繰り返す児童・生徒に対して、事前に定めた手続きに基づき、市町村教委が命じる行政処分。他の子供の教育を受ける権利を守るためで、懲罰ではない。文部科学省は01年、適用要件について、他の子供や職員に心身の苦痛を与える行為、窓ガラスや机を破壊する行為などを繰り返し、他の子供の教育に妨げがある場合とした。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする