京大汚職事件、元教授らを起訴 別の収賄立件も視野
産経新聞 2012年8月21日(火)15時41分配信
京都大大学院薬学研究科の元教授が業者から計約620万円の賄賂を受け取った汚職事件で、東京地検特捜部は21日、元教授の辻本豪三容疑者(59)を収賄罪で、医療機器販売会社「メド城取」社長の木口啓司容疑者(62)を贈賄罪でそれぞれ起訴した。辻本被告は別の収賄の疑いも浮上しており、特捜部は立件を視野に捜査している。
辻本被告はメド城取に対して便宜を図った謝礼として、平成19〜23年、飲食代や電化製品の購入費など約476万円を肩代わりさせたほか、3回分の海外旅行代金146万円を受け取った疑いがあるとして、収賄容疑で特捜部に逮捕されていた。
木口被告は、同社名義のクレジットカードを辻本被告に「自由に使ってください」と手渡して利用させるなど、長年にわたり利益供与を続けていたとされる。国立大教授は「みなし公務員」として収賄罪の適用対象となる。
特捜部は、辻本被告が物品購入を偽装し、研究費の一部を「預け金」という形で同社にプールさせて流用していた疑いがあるとみており、不正経理の全容解明を急いでいる。
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<京大元教授>収賄容疑で再逮捕 新幹線回数券など受け取る
毎日新聞 2012年8月21日(火)20時29分配信
京都大学大学院薬学研究科発注の物品調達を巡る汚職事件で、東京地検特捜部は21日、元教授の辻本豪三容疑者(59)=6月28日付で辞職=を収賄容疑で再逮捕した。新たに新幹線の回数券計約137万円相当と商品券計約110万円相当の計約247万円相当を賄賂として受領した疑い。また、東京都世田谷区の医療機器販売会社「メド城取(しろとり)」社長の木口啓司(62)、同社元営業部長の上田真司(53)両容疑者を贈賄容疑で再逮捕した。
元教授の再逮捕容疑は07年11月下旬〜11年9月中旬、京大の物品納入に関してメド社に便宜を図る見返りに、研究室内などで新幹線の回数券と旅行会社の商品券をそれぞれ10回にわたり受け取ったとしている。贈賄側は07、08年分の時効が成立しているため、回数券のうち計約55万円分と商品券のうち計約60万円分の計約115万円分を再逮捕の容疑としている。
特捜部によると、メド社の京都オフィスの責任者だった上田容疑者が主に、元教授にチケット類を渡していた。新幹線の回数券は京都駅から元教授の自宅に近い東京駅や新横浜駅までの区間で、元教授の要求に応じてチケット類を渡したこともあったという。
また、特捜部は21日、海外旅行渡航費やメド社側が提供したクレジットカードで支払った飲食費など計約643万円相当を授受したとして辻本元教授を収賄罪、木口容疑者を贈賄罪でそれぞれ起訴し、上田容疑者は処分保留とした。元教授は「業者に預けた研究費(預け金)から支払われていると思った」と、起訴内容を否認しているという。【山本将克、島田信幸、吉住遊】