(朝鮮日報日本語版) 【社説】性犯罪を隠し大学に合格、虚偽の入試書類を許すな
朝鮮日報日本語版 2012年8月18日(土)11時58分配信
今年の春、入学査定官試験(学力試験ではなく入学査定官が内申や面接の成績で合否を決める入試)を経て成均館大学に入学した学生が、高校在学中に、知的障害を持つ女子生徒に集団で性的暴行を加えていたことが明らかになり、大学側が自主調査に乗り出している。この学生は2010年、高校生十数名と共に女子生徒に性的暴行を加え、裁判所で少年保護処分を受けた。学生は昨年、この事実を隠したまま「人格に優れ、ボランティアに積極的に参加した生徒」という教師が作成した推薦書を提出し、大学に合格したという。この学生と教師が大学をだましたことが明らかになれば、大学側は入学を取り消す予定だという。
2008年に大学40校が初めて実施した入学査定官制は、13年度の入試では125校が実施し、定員の13.5%に当たる4万7606人がこの制度で選抜される。これまで、入学試験の成績だけで選抜される学生よりも入学査定官制で入学した学生の方が、専攻満足度が高く、奨学金もより多く受け取っているというリポートが何度も発表された。しかし、入学査定官制は、自己紹介書と教師の推薦書、面接を通じてリーダーシップや潜在力などを評価するため、まずは提出された書類が信用できるものでなければならない。生徒と学校、教師が大学に虚偽の書類を提出すれば、入学査定官はその虚偽の書類を根拠に受験生を面接し、合格者を選抜することになる。このようなことが繰り返されれば、入学査定官制に対する信頼は低迷し、結局は無用の長物となってしまうだろう。
米国では受験生が自己紹介書を代筆してもらったり、教師が虚偽の推薦書を書くことなど考えられない。入学査定官と教授、時には同窓生まで同席して受験生の面接を行い、提出書類の内容を詳細に検証する。カリフォルニア州立大学バークリー校は、入学査定官の専門性を高めるため、毎年60時間かけてハイレベルな訓練を行い、コーネル大は経験豊富な査定官が新任の査定官をマンツーマンで教育する。
韓国は、全国の大学の入学査定官を全て合わせても618人にしかならない。査定官1人が1000人以上の受験生を審査する大学もある。米国の大学は、ほぼ1年間を通して入学査定を行っているが、韓国は願書受付以降、1、2カ月以内に多数の書類を審査しなければならない。受験シーズンに急きょ、教授に査定官を委託し、1時間程度の教育を行っただけで査定官を任せる大学もある。ずさんな査定官制を改善するためには、大学側がこれまで以上の費用と人材を投入しない限り、虚偽の書類が提出されてもそれを突き止める方法はない。生徒と教師が虚偽の書類を提出した事実が明らかになれば、米国のように、問題の高校の出身者には一定期間その大学への入学を認めない、あるいは入学者数を減らすような不利益を与えるという方法も導入すべきだろう。