監視教員に水位上昇伝わらず 養徳小プール死亡事故
京都新聞 2012年8月21日(火)9時29分配信
京都市左京区の養徳小のプールで1年の女子児童が死亡した7月末の事故で、事故の3日前に水位を約10センチ高くしていたにもかかわらず、当日の監視担当教員に伝わっていなかったことが20日、分かった。同日夜の保護者説明会では、児童に合わせた監視態勢や水深の基準がなかったことに批判が集まった。
浜島后江(きみえ)校長によると、水位を高くしたのは高学年の水泳指導のためで、低学年の監視を担当した教員3人には知らされていなかったという。浜島校長は「教員間の共通認識ができていなかった」と釈明し、「水位の上昇が(事故の)要因の一つになったと思う」と述べた。
水位を10センチ高くしたことで、事故当日の水深は、学校が低学年向けに想定する60〜90センチを20センチ上回り、1年生には初めての深さだった。水位上昇に気付いた教員もいたが、児童数人に「深い所へ行かないように」と注意しただけだったという。
保護者説明会は非公開で行われ、約200人が参加した。女児の死を悼んで黙とうした後、浜島校長が「あまりにも大きな犠牲を出してしまった」と謝罪した。市教委は、監視態勢や水深の目安を盛り込んだ基準策定に着手すると説明した。
5年女児の母親(42)は「なぜプール運営にマニュアルがなかったのか」と不満を漏らし、子ども2人を通わせる母親(40)も「教員3人の監視は児童数に対して少ない。『役割分担の問題だった』という説明にも納得できない」と話した。
市教委によると、事故は7月30日午後1時45分ごろに起きた。学校主催のプール開放で、1〜3年の69人が参加していた。京都府警が事故の原因を調べている。