いじめ自殺対策を強化 自殺総合対策大綱 第三者の調査で実態把握

いじめ自殺対策を強化 自殺総合対策大綱 第三者の調査で実態把握
産経新聞 2012年8月28日(火)10時5分配信

 政府は28日の閣議で、若年層の自殺者数が増加傾向にあることを踏まえ、いじめ自殺への対策を強化する新たな「自殺総合対策大綱」を決定した。いじめ自殺の被害者遺族が求めれば、学校や教育委員会ではない第三者の調査で実態を把握する必要性を指摘。若年層の自殺防止のため、新たにスマートフォンや携帯電話を通じた支援強化や24時間の電話相談体制の整備を盛り込んだ。

 国の自殺対策の指針となる大綱は平成19年に策定されており、見直しは初めて。重点施策として(1)自殺未遂者への支援強化(2)大規模災害の被災者の心のケアや生活再建推進(3)インターネットを活用した支援情報提供−などを挙げた。

 さらに、大津市での中2男子自殺などを受け、9日に公表された見直し案からいじめ自殺に関する記述を増やした。旧大綱も第三者調査に触れていたが、今回は学校、教育委員会主体の調査を前提とせずに実施することを明記した。

 若年層の自殺に関し、大綱は「背景にいじめ問題がある事案が依然として発生していることを深刻に受け止める」と強調。その上で「各学校でいじめなどへの一層の取り組みの充実を促す」と明記している。

 自殺未遂者への支援策としては、救急医療センターへの精神科医の配置、退院後も継続的に相談などの精神面のケアを受けられる体制の整備などを挙げた。

 自殺者数は、警察庁統計で昨年まで14年連続で3万人を超えている。中高年層の自殺の割合は減少傾向にあるが、若年層では増加傾向にある。自殺対策白書によると、23年の学生・生徒の自殺者数は初めて1000人を超えている。

 内閣府の担当者は「若年者層の自殺の割合が増加したのは、悩みの相談相手がいなかったりストレスへの対処法を知らなかったりで逃げ道を知らなかったからではないか」と話す。

 藤村修官房長官は閣議に先立ち官邸で開いた自殺総合対策会議で「誰も自殺に追い込まれることのない社会実現を目指し、リーダーシップを発揮してほしい」と関係閣僚に指示した。

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