大津・中2自殺 第三者委 初会合、年内にも最終報告
産経新聞 2012年8月26日(日)7時55分配信
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、真相解明に向け市が設置した外部有識者による第三者調査委員会の初会合が25日、市役所で開かれた。遺族側が推薦した教育評論家の尾木直樹氏ら5人の委員が出席。加害者側とされる同級生への聞き取りや、自殺した生徒の家庭環境についても調査する方針を決めた。
いじめが疑われた過去の問題でも自治体が第三者調査委員会を設置したケースはあったが、遺族側の推薦者が委員に選ばれたのは初めて。
尾木氏は「これまでとは本気度が違う。今回は試金石になる」としており、いじめ問題の原因調査をめぐる各地の動きにも影響を与えそうだ。
初会合で越(こし)直美市長は「学校や市教委の調査はずさんだった。事実を徹底的に明らかにしてほしい」と述べた。委員会は年内にも再発防止策を盛り込んだ最終報告書をまとめる。次回は26日。
市は当初、委員6人に委嘱する予定だったが、滋賀県臨床心理士会会長が「自殺した生徒の家庭内の情報を第三者に漏らした」と報道され、漏洩(ろうえい)を否定しつつも「混乱を招く恐れがある」として、24日に就任を辞退した。
■委員長=元裁判官で弁護士の横山巌(いわお)氏▽副委員長=弁護士の渡部吉泰(よしやす)氏▽委員=教育評論家で法政大教授の尾木直樹氏▽同=京都教育大教授の桶谷(おけたに・まもる)守氏▽同=和歌山大教授の松浦善満(よしみつ)氏
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記憶薄れ、懸念する意見も…大津いじめ第三者委
読売新聞 2012年8月26日(日)11時37分配信
大津市の市立中学2年男子生徒が自殺した問題の実態を解明する市の第三者調査委員会(委員長=横山巌弁護士、5人)が25日、始動した。
生徒の自殺から約10か月。関係者の記憶も薄れつつある中、どこまで真実に迫れるのか。「二度と繰り返さないために」「亡くなった生徒の無念を晴らしたい」。委員は口々に決意を語った。
第三者委では当初、遺族と市側が推薦、選任した各3人の委員が内定していたが、市側選任の1人が24日に辞退。この日は5人による初顔合わせとなった。
会合では各委員が意見を表明した。京都教育大教育支援センターの桶谷守教授は「命が失われたことを重く受け止め、再発防止にどういうことが必要か、検討したい」と述べ、いじめ問題に詳しい松浦善満・和歌山大教授も「男子生徒や遺族の無念を晴らすため徹底的にいじめの事実を解明する」と語気を強めた。
横山委員長は「法律家の立場から現場に足を運んで調査し、証拠に基づいて解明したい」と抱負を語り、明石歩道橋事故の遺族を支援した副委員長の渡部吉泰弁護士は「いじめの事実を徹底的に調査し、大きな成果が残るように力を尽くしたい」と強調した。
さらに、教育評論家の尾木直樹・法政大教授も会合後、報道陣に対し、「第三者委が子どもたちにとって希望の星になり、保護者にも安心感を持ってもらえるところまで行けばベストだ」と意気込みを話した。
この日の会合は約3時間続いたが、冒頭の約30分を除く大半は非公開で行われた。横山委員長らによると、その間、市教委が問題の経緯を説明し、委員からは「校内の教諭の役割分担はどうなっていたのか」などの質問が出たという。男子生徒の人柄や家庭状況についても遺族の協力を得て調べることが決まった。
ただ、自殺から約10か月経過し、周りの生徒たちの記憶が薄れている可能性を懸念する意見も。実質調査が2学期に入ってからになるため、受験を控える生徒への聞き取りは慎重を期すべきだとの指摘もあったという。尾木氏も「この段階での調査は本当に難しい」との見方を示した。
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<大津いじめ>第三者委「17日会合までに事実関係を整理」
毎日新聞 2012年8月26日(日)21時48分配信
大津市で市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、いじめの実態などを調べる市の第三者調査委員会は26日も、市役所で会合を開いた。委員長の横山巌弁護士らによると、第3回会合の9月17日までに、いじめの事実関係について整理することを決めた。また、資料の精査や生徒の聞き取りを補佐するため、弁護士や臨床心理士ら調査員5、6人を選ぶ。
この日は委員5人のうち、教育評論家の尾木直樹・法政大教授が欠席した。今後、横山氏ら弁護士チームと尾木氏らのチームに分かれ、弁護士チームがいじめの事実関係などを精査し、尾木氏らは教師や学校との関係などを調べる。別の専門家の公聴会も検討する。
男子生徒の遺族の代理人弁護士によると、調査委から、男子生徒の写真や成績表の提供のほか、証言できる友人の紹介の依頼があった。【千葉紀和、加藤明子】