尾木ママ提言「これじゃダメよ甲子園」
東スポWeb 2012年8月28日(火)14時24分配信
私が許さないわよ! オネエ言葉と「尾木ママ」の愛称で人気の教育評論家・尾木直樹氏(65)が、不祥事が連発した第94回全国高校野球選手権大会に提言した。甲子園で生観戦した尾木ママは、事件を起こした高校を「辞退すべきだった」と断罪。卑劣な不祥事を繰り返す球児に“がばいのすすめ”を説いた。
今大会は3チームが不祥事に絡む異例の選手権となった。まずは浦和学院(埼玉)。県大会前ではあるが6月11日、部員が痴漢して県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された。広島工(広島)は元部員が強制わいせつの疑いで再逮捕。大会開幕日(8日)直前の7月30日に発覚した。
最悪だったのが作新学院(栃木)だ。17日、部員が16歳の少女への強盗と暴行致傷の疑いで逮捕。大会開催中の事件で、近年まれにみる騒動に発展した。相次ぐスキャンダルに教育問題のエキスパートも憤りを隠せない。
【1】辞退すべきだったわ
浦和学院、広島工、作新学院の3校はいずれも高野連に出場を認められた。ベスト8まで進んだ作新学院は9月末の岐阜国体出場こそ辞退したが…。
「(甲子園に)出場せず、辞退すべきだった。たばことか飲酒は、言葉は適切じゃないけど、ある意味“高校生らしい”問題だった。でも、今回の事案は凶悪性が高過ぎる。しかも、同時多発的。深刻な問題ですよ。高校野球は高校生の憧れの的。なのに“事件を起こしても甲子園に出場すれば免罪される”というメッセージを全国の人たちに送ってしまってる。私は実際に甲子園に見に行って、内心違和感を覚えた。聖地が汚されてるような…。私が監督なら辞退してたわね」
【2】教育力が足りない
昨年発生した天理(奈良)の暴力行為、仙台育英(宮城)の建造物侵入事件にも着目した。
「今回の3校と合わせると、いずれも名門、古豪という共通点が浮かび上がる。てんぐになってるんじゃないかしら。部員を大量に集め、野球をやるために通う“野球高校”になってはいけない。『野球だけすればいい』と特別扱いしてはいけない。学校が教育力を発揮できてないのが問題なんです。球児も私学の広告塔になってはダメよ」
【3】“がばい”を見習って
では打開策は? 尾木ママは今大会にも出場した佐賀北(佐賀)をモデル校にするよう説いた。公立の進学校にもかかわらず、2007年夏に初優勝。“がばい旋風”として脚光を浴びた。
「佐賀北はグラウンドを他の部と共有。専用グラウンドがある強豪校と違って、環境に恵まれているわけではない。テスト1週間前になると練習禁止にもしてます。甲子園に出場しても、宿舎に持ち込んだ参考書で勉強してるんですよね。それで優勝した。これが高校球児のあるべき姿。普通に勉強して、普通に部活に励めばいいんです」
甲子園に出場する高校の練習は2時間に制限され、宿舎での自由時間が長い。にもかかわらず、その余暇に勉強するチームは少ない。球児である前に、高校生であれ――。
さわやかなイメージが失墜しつつある高校野球は、威厳を取り戻せるか。