<樟蔭東高>無資格教員が看護授業 再履修が必要に

<樟蔭東高>無資格教員が看護授業 再履修が必要に
毎日新聞 2012年8月28日(火)8時46分配信

 私立樟蔭東高校(東大阪市、宮近スイ子校長)の看護師養成学科「衛生看護科」(5年制、約300人)で、看護実習を指導する免許しか持たない教員数人が実習以外の授業を資格外で担当していたことが、学校関係者らへの取材で分かった。「教員数が足りず、断れなかった」という。資格外授業では単位が認定されず、再授業が必要。大阪府も状況を把握しており、全容解明に向けて調査に乗り出した。

 府などによると、今年4月現在、同科で正規の看護教員免許を持つ教員は2人。09年開設の同科1〜4年(計8クラス)の授業をカバーしきれないため、同校は一般の看護師8人を雇い、うち3人に授業も実習も担当できる臨時教員免許(看護臨時免許)を、残る5人に実習だけを担当できる臨時教員免許(実習臨時免許)を府教委から発行してもらい、不足を補っていた。

 しかし、看護教員免許5人のうち3人(正規免許2人、臨時免許1人)は週1回の非常勤で、常勤は2人だけだった。元教員を含む学校関係者数人によると、「授業数に対し看護教員免許を持つ教師が絶対的に不足しており、今年4月以降、実習臨時免許の5人が授業も担当していた」という。実習臨時免許のうち2人は7月までに退職した。

 府は通報で調査を始め、同校に資料を提出させた。府関係者によると、同校は実習臨時免許の教員には看護免許の教員とペアで授業を担当させたと説明。しかし、府が授業担当表を精査すると、看護免許の教員が同時間帯に二つの授業を担当するなど不自然な点があったといい、調査を続けている。

 元教員らは取材に、「実習臨時免許だったが、看護免許の教員が足りないため断れず、単独で資格外授業を繰り返した」と証言。こうした教師の授業を受けた生徒らも単独授業だったと話した。

 樟蔭東高は取材に「現在、府の指導を受けており、コメントできない」とし、府私学・大学課は「樟蔭東高から実習免許の教員が資格外授業をしたと報告を受けている。資格外授業には再授業が必要で、早急に事実関係を確認したい」としている。【稲垣淳】

 ★看護科の教員免許 教職員免許法で「看護科」を教えることができる教員免許は「看護」と「看護実習」の2種類。看護は学習指導要領で定める看護科目(6分野)の全てを教えられるが、看護実習は「看護臨床実習」など実習の授業しか担当できない。

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