常陸太田の中2自殺:県教委が緊急校長会議 「連鎖防止策徹底を」 /茨城
毎日新聞 2012年8月29日(水)12時52分配信
常陸太田市の中学生がいじめを苦に自殺した問題を受け、県教育委員会は28日、全県の市町村立小中学校の緊急校長会議をつくば市内で開いた。今回の自殺を「緊急事態」ととらえ、自殺の連鎖防止対策の徹底などを要請した。また、県教委が独自に作った「いじめ早期発見のためのチェックリスト」を配布して、活用を促した。
県内780校の校長のほとんどと、全44市町村教委の指導主事ら総勢約850人が出席。小野寺俊教育長は冒頭、いじめ問題の対応について「1人では無理。学校が組織として対応し、保護者、家庭や地域と連携して取り組んで初めて解決の方向が見えてくる」と強調した。対応の基本として「児童生徒との信頼関係が全てのベースだ。本音で相談できるような環境をつくってほしい」と求めた。
県教委義務教育課の小林仁課長はいじめと自殺防止の具体策を説明。「自殺の連鎖が何よりも心配。緊急事態だと考えている。みんなで子どもたちの言動を見て小さなサインを共有し、把握してほしい。学校の態勢が機能しているか、検討してほしい」と述べた。
チェックリストは▽発言に対し、冷やかしやからかいが多い▽遊びの中でいつも同じ役をしている▽いやがる仕事をよく任されている▽急いで一人で帰宅する−−など20項目を列挙。県教委はこれをひな形に、各市町村教育委員会が独自に項目を加えるなど、現場に合った活用を要請した。【安味伸一】
◇県カウンセラー・村上さん、学校の対応の仕方講演
会議では県スクールカウンセラーの村上めぐみさん(茨城大保健管理センター非常勤講師)が「緊急対応の配慮事項等について」をテーマに講演した。
◇講演要旨
日ごろから緊急事態は起こるかもしれないという気持ちを持つ。児童生徒は大きな衝撃を受け、心身にいろいろな反応が現れるが、これは正常で良い対応をすれば大半は収まる。安心・安全を確保し、日常の学校生活を取り戻すように対応する。「守られている、安全だ」と心に響けば、児童生徒は落ち着くことができる。
緊急事態には学校にかかわる人すべてが当事者となるので、冷静でなくなっているのも正常な反応だ。学校だけで何とかしようとせずに教育委員会、カウンセラーや医療機関など外部機関と連携してほしい。学校では起こった事態を説明する機会を設ける。何が起きたか分からないと、臆測やうわさによって自分を納得させ、不安を収めようとする心の動きになる。校長から説明することで不安や混乱は抑えられる。
児童生徒が自分の気持ちを話せるような場所、雰囲気を作る。話せないと不安や恐怖が自分を押しつぶし、深刻な事態になる。「誰かに受け入れられている」と思うことで乗り越えていける。
多忙な校長先生にぜひお願いしたいのは、とても余裕があるふりをして学校の中や校庭を歩いてほしい。おとなしい生徒は自分からは絶対に行けないが、意外と校長と話をしたいという生徒もいる。【安味伸一】
8月29日朝刊