中学校に警官十数人 厳戒始業式…大津中2男子いじめ自殺
スポーツ報知 2012年9月4日(火)8時3分配信
滋賀・大津市の中2男子自殺問題で、男子生徒が通っていた中学校で3日、2学期の始業式が行われた。爆破予告や市教委の教育長襲撃事件などが相次いだことから、滋賀県警は十数人の捜査員を配置し、周辺を警戒するなど厳戒態勢を敷いた。市教委によると、校長は始業式で約850人の生徒を前に「いじめのない学校作りを目指す」と語った。
午前6時。滋賀県警の捜査員十数人らが校庭を数回まわり、草むらをかき分けながら、丹念に不審物の探索を始めた。教師らは互いに声を掛け合いながら協力し、額に汗を浮かべた。
中学2年の男子生徒(当時13歳)がいじめを苦に自殺したとされる大津市の中学校ではこの日、始業式を迎えた。楽しいはずの2学期。しかし、周辺は物々しい雰囲気に包まれていた。
夏休み前に爆破を予告する脅迫状が届き、今も脅迫メールや電話が相次いでいる。先月15日には、市教委のいじめ問題への対応に不満を持った大学生(19)に教育長が襲撃される事件も発生。不測の事態に備え、保護者や警備員が通学路に配置され、門には防犯カメラの設置を知らせる立て看板もあった。
登校時間になると、生徒たちは久しぶりの再会に笑顔を見せた。しかし、ある女子生徒は、顔見知りの保護者を見つけると、駆け寄り、抱きついたまま離れない。「大丈夫、大丈夫」と背中をさすられ、ようやく顔を上げ、学校へ向かった。
校長は始業式で「1人の生徒が亡くなったことをもう一度考え、しっかり反省することから始め、二度とこのようなことが起きないようにしていきたい」と決意を示した。いじめ問題への対応が批判を浴び、7月11日には県警は同級生3人の暴行容疑で学校などを家宅捜索した。8月末までに当初予定していた男子生徒と同学年の生徒ら約300人への事情聴取を終えた。「いじめのことで警察から聞き取り調査を受け、大変つらい思いをさせ、申し訳ない」。校長は生徒たちに頭を下げた。
市教委は、夏休み中もスクールカウンセラーを学校に常駐させ、全校生徒を対象にした家庭訪問を実施した。今週中にも、教員が全校生徒と面談を行い、心理的ケアに努めていくとしている。
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大津・中2自殺:始業式、新学期こそ平穏に 生徒ら胸中複雑 /滋賀
毎日新聞 2012年9月4日(火)15時37分配信
大津市で昨年10月、市立中学2年(当時13歳)の男子生徒が自殺した問題で、生徒が通っていた中学で3日、2学期の始業式があった。夏休みには生徒約300人が、いじめの実態を巡り滋賀県警の聞き取りを受けたほか、秋には市の第三者調査委員会の聞き取りも予定されている。男子生徒の同級生は3年生で受験も控えており、「新学期こそ平穏な学校生活を送りたい」と切実な願いを語った。
市教委や生徒によると、始業式は午前9時から約1時間行われ、その後各学級で、いじめ対策担当の教師を置くことが説明された。生徒約30人が欠席し、男子生徒の担任教師は体調不良で当面休むことが決まったという。
正午過ぎに下校を始めた生徒たちは複雑な胸中をのぞかせた。3年生女子は、校長が式で「警察の聞き取りでつらい思いをさせた」と陳謝したことに対し、「本当に迷惑がかかっている。もっと早くいじめに対応していればこんなことにならなかったのに、今さら言われても」と憤った。
一方で、3年生男子は「マスコミは学校批判ばかりで、本来解決すべき生徒間の問題にどう向き合うのか全然触れられていない。そういうタイミングで警察にじっくり話を聞いてもらうことで胸が晴れた気がする」と冷静に語った。
また、2年生男子は生徒の自殺について「うまく言葉にできない。でも、こんなことが起こってはならないと思う」と改めて強調。市教委が掲げる「いじめを許さない学校づくり」への期待をにじませた。中学には新学期からもスクールカウンセラー2人が常駐されるほか、3日から1週間かけて全校生徒を対象に面談を行い、悩みを聞き取るという。【千葉紀和、加藤明子、前本麻有、石川勝義、村山豪】
9月4日朝刊