県内いじめ件数1019件 昨年同期の2倍超 県教委が緊急調査

県内いじめ件数1019件 昨年同期の2倍超 県教委が緊急調査
埼玉新聞 2012年10月10日(水)14時3分配信

 大津市の中学2年男子がいじめが原因で自殺したとされる問題を受け、県教育委員会は9日、文部科学省の緊急調査の結果を公表した。それによると、県内(さいたま市除く)の公立小中学校、高校、特別支援学校1288校のいじめの認知件数は1019件。調査対象期間は4月1日から8月末までで、県が昨年同時期に行った独自調査の認知件数483件(特別支援学校除く)の2倍以上となった。

 県教委は「件数の多い少ないではなく、いじめを100%認知することが大切。学校現場でいじめについての認識が高まっているのではないか。(学校や市町村教委に)解決まで持っていくことを求めていく」と話している。認知件数1019件のうち、学校がいじめを把握した後、加害者と被害者を継続的に観察し、通常の生活に戻った「解消」は857件だった。

 学校別の認知件数は、小学校294件(昨年同時期112件)中学校630件(同333件)高校78件(同38件)。「児童生徒の生命や身体の安全が脅かされるような重大な事態、自殺に追い込まれるような恐れがある」とするいじめが、中学校で1件あった。県教育局生徒指導課は「県に報告は上がっているが、まだ問題は解消していない」としている。

 いじめの様態(複数回答)は「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が最も多く716件。次いで「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする」が224件、「仲間外れ、集団で無視される」が136件。

 「いじめを把握したとき、速やかに組織的な対応を図っているか」との質問に対し、全ての小中学校、高校が「はい」と回答。「速やかに教育委員会に連絡しているか」との質問に「はい」と答えたのは1195校(92・8%)。

 同省が毎年実施している児童生徒の問題行動調査では、11年度の県内公立学校のいじめ認知件数(さいたま市含む)は1373件。小学校383件、中学校850件、高校118件、特別支援学校22件だった。

■前島県教育長「認知件数多い方がいい」

 いじめ緊急調査の結果について、前島富雄県教育長は、9日の県議会文教委員会で「学校でいじめが(行われていることが)分からないという状況がよくない。件数は多い方がいい。それだけ子どもをしっかり見ていることになる」と述べた。

 委員の県議からは「いじめの認知の仕方や解消状況をどう把握しているのか」と質問が出た。県教育局は「認知には主観的な部分がある。件数は幅のある数字になってしまう傾向があるが、各学校に件数を少しでも減らしてほしいとは言っていない。いじめを100%把握し、100%解決すること。教員だけで判断するのではなく、いじめている子、いじめられている子とその保護者を含めて完全になくなったという状況を見て判断している」と答えた。

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