境港の中3飛び降り:いじめ把握できず 校長「アンテナ鈍っていた」 /鳥取
毎日新聞 2012年10月12日(金)13時2分配信
「私が最も恐れていたことが起こりました」。境港市の市立中学3年の男子生徒(15)がノートに自分が受けた嫌がらせを記述した直後に校舎の生徒用玄関のひさし(高さ約5メートル)から飛び降り重傷を負った問題で、同市教委の佐々木邦広教育長は11日の記者会見でこう切り出した。ノートに書かれていたいじめが原因との判断を示したが、同席した校長は「今までいじめがあると把握していなかった」と沈痛な表情を見せた。生徒の保護者には12日夜、説明するという。【小松原弘人、加藤結花、高嶋将之】
. 校長らによると、A4判ノートに5ページにわたって「髪を引っ張られた」「付箋を無駄遣いされた」「周りの人は笑っていた」という直前の出来事のほか、「蹴ったり、たたかれたりした」「“眼鏡”と言われた」など以前の出来事も書かれており、佐々木教育長は「ノートを見た時いじめと認識した。その日のことだけでなく、積もり積もったものがあり、教師も見落としていたのでは」と語った。
学校側は10、11日の両日、全校生徒にいじめの有無などをアンケートで調べたところ、飛び降りた生徒のケースを含め「(悪ふざけが)行き過ぎたことがある」という回答が多くあり、校長は「(いじめを察知する)アンテナが鈍っていた」とうなだれた。
母親は学校側の問い合わせに、男子生徒が「眠れない」と話したり弁当を食べずに持ち帰ったりしたことがあると説明したという。
横浜純一県教育長は「あってはならないことだけに大変残念」とコメント。先月、制度化した弁護士や精神科医ら専門家による「子どもの悩みサポートチーム」を「必要があれば派遣を検討したい」とした。また、設立準備中のいじめ問題に関する第三者調査機関について、窓口となる県人権局は「境港市教委や保護者から、要請があれば迅速に対応したい」と話している。
10月12日朝刊