(朝鮮日報日本語版) 大学教授、偽の自己紹介書1900枚を企業に提出
朝鮮日報日本語版 2012年10月24日(水)10時55分配信
ソウル市内のある私立大学の経済学科の教授が、約1900枚の偽の自己紹介書を作成し、大企業の入社志願者サイトにアップロードしたとして、警察の捜査を受けている。この教授は、企業が新入社員を採用する過程で、性別やTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)の点数、出身校、兵役経験の有無などの要件のうち、どれが最も大きな影響を与えるかを調べるため、このような行為に及んだという。
ソウル瑞草警察署は23日「『採用過程での差別性に関する研究』という目的で、大企業121社に約1900枚の偽の自己紹介書を送った容疑で、私立大学教授(43)に対し捜査を行っている」と発表した。
現代・起亜自動車グループから「似たような顔の志願者が、別の名前で自己紹介書を数枚送ってきた」として告訴状の提出を受け、容疑者を追っていた警察はこの日午後、自ら出頭したこの教授に対し事情聴取を行った。
警察によると、教授は自分の指導する助教(教授の雑務を手伝う大学院生アルバイト。日本でいう「助教」とは異なる)や学生たちと研究グループをつくり、男女別に8枚の「標本自己紹介書」を作成したという。大企業が採用の過程で最も重要視するスペック(学校の単位や語学の成績などを指す)が何なのかを知るためだった。例えば、兵役を終えた男性で、TOEICの点数も同じだが、出身校が異なる場合、どちらが採用されるかを探ろうとした。
研究グループは、助教と親しい男女2人の写真を入手した後、画像編集ソフト「フォトショップ」などを利用し、眼鏡を描き加えたり、ヘアスタイルを変えたりして、別の志願者に見えるよう改ざんした。A教授はこのようにして作成した偽の自己紹介書を、現代自や起亜自、ハンファ・グループ、新韓銀行など121の大企業や銀行の人事採用サイトを通じて送った。偽の自己紹介書に記載された住民登録番号は全て存在しておらず、研究グループは、企業が採用過程で実名の認証を行わないという盲点を利用した、と警察は説明した。
警察の関係者は「教授は研究に着手する前、弁護士と会って『大きな問題にはならない』とのアドバイスを得た、と供述した。現在は研究を中断している状態だ」と説明した。一方、教授は本紙記者に送った電子メールで「自分の心理状態が正常ではないようだ。当分の間、話をするのは難しい。研究に対する欲が大きくなり、世情に疎くなったため起こった問題だということを理解してほしい」と主張した。