“大学ツブし”騒動の田中真紀子文科相に現場から大ブーイング

“大学ツブし”騒動の田中真紀子文科相に現場から大ブーイング
週プレNEWS 2012年11月14日(水)10時10分配信

この騒ぎはいったいなんだったのか―。

田中真紀子文科大臣が来春新設予定の3大学(札幌保健医療大、秋田公立美術大、岡崎女子大)を「認可しない」とぶち上げたのは11月2日のこと。

大学設置・学校法人審議会が開学OKを答申した直後だけに、まさにこの発言は土壇場のちゃぶ台返し。「大学の乱立を防ぎ、教育の質を向上させるため」(本人弁)というのが、不認可の理由だったらしい。

ところが6日、内外から批判が相次ぐと、「不認可とは言っていない。3大学は新たな審査基準をつくり、再審査する」と、にわかにトーンダウン。身内の輿石東(こしいしあずま)民主党幹事長からも「現行制度での手続きを尊重するように」とクギを刺された翌7日には、ついに「3大学を認可する」と表明、全面撤回に追い込まれてしまった。

表明後、田中文科相は「圧力に屈したとか、そういうことじゃない」「官僚主導のルールを壊すには(3大学認可見送りを決定するくらいの)膨大なエネルギーがいる」と強がっては見せたものの、その表情は悔しさでいっぱい。完敗は明らかだ。

気の毒なのは、きりきり舞いさせられた3大学の関係者。新任教員として採用が内定していた大学教員が怒る。

「くだらない騒ぎに巻き込まれてしまったという印象しかありません。この数日間、内定がパーになるのではと、あれこれ悩んだのはなんだったのか。ため息が出てしまいます。父親が元首相の田中さんはお姫さま育ちのわがまま権力者。(3大学不認可という)思いつきを正してくれる側近はいなかったんですかね? 2世政治家の悪いところが出たという感じです」

まったくだ。田中文科相は関係者にひと言、謝るべきだ!

それにしても、周囲のアドバイスなどどこ吹く風。一度言い出したらめったに後に引かないことで知られる彼女が、どうして今回はこんなにあっさりとギブアップしてしまったのか?

ある学校法人関係者がささやく。

「田中さんは『教育については自分も一家言ある』と豪語し、不認可も独断で決めてしまった。しかし、実は学校認可の初歩的な知識もなかったことがバレてしまった。さすがにこれはマズイと判断し、ホコを収めることにしたのでしょう」

初歩的な知識もなかった? 名古屋大学(法学部)の大屋雄裕教授が説明する。

「田中さんは6日の記者会見で、『認可が決まった時点で、すでに学校の校舎ができているのはおかしい』と、大学審議会の認可のあり方を批判していましたね。これはメチャクチャにマト外れな批判なんです。だって、大学新設の手続きは申請時点で学校の敷地がちゃんと確保されているのが大前提だし、校舎も開校時点で完全に使えるようになっている必要がある。だから、審議会で議論している間に校舎が完成しているのは当たり前のことなんです」

同じように、教員の確保や初年度の講義シラバス作成も「2013年春開学なら、遅くとも2012年春の段階で済んでいないと審議の対象にすらならない」(大屋教授)のだ。

なるほど、そんな初歩的なことも知らず、専門家ぶって3大学の不認可に突っ走ってしまったワケね、田中文科相という人は。

そもそも、大学設置基準の見直しと3大学の不認可をリンクさせること自体が不見識なのだ。

元文科官僚で京都造形芸術大学(芸術学部)の寺脇研教授が言う。

「教育の質が低くて学生が集まらないのは既存の大学が抱える問題。それを正したいという田中さんの思いは理解できますが、だから新設の3大学も認めないというのではダメ。無理がありましたね」

田中文科相は政治家の資質を疑われても仕方ない。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする