著作はまるで広報資料、斬新さゼロ…パナソニック御用◯◯たちの生態
Business Journal 2012年11月26日(月)17時14分配信
パナソニックに巣食う学会のヨイショNo.1といえば、大手紙記者は「いつもパナソニックの懇親会に来て、社長や会長の近くに陣取って、くだらない質問をしています。記者会見ではほとんど見かけたことがないので、広報の担当者にどなたかと伺ったら大学の先生であることがわかり、あんな程度の経営学者もいるのかと驚いた記憶があります」と振り返った。
このO氏、持ち上げてきたのはパナソニックだけではない。ソニーのヨイショ本や、別のペンネームで三洋電機のヨイショ本も出版している。電機業界の「幇間(男芸者や太鼓持ち)学者」と呼ばれている。
パナソニックOBは、「著書を読むと学者が書いたものとは到底思えず、広報資料を写したのではないかと思ってしまうほどです」と語った。
キャリアにおいても驚くべきことがある。多摩大学の前は、なんとK大学准教授。K大学といえば日本では、一橋大学と並んで企業の経営研究では伝統と実績がある。さらに調べると、K大学の前はビジネス雑誌の記者で、その前は業界紙記者だったことがわかった。研鑽してキャリアを発展させていくことに異論はないが、K大学準教授になる前に論文はまったくといっていいほどなく、学位もないのにいきなり准教授というのは、K大学のような著名で一流の大学の教員選考ではありえないケースだ。
現在は経営学博士の学位を取得しているが、それはK大学準教授に転じた後に取ったものだ。ある大学教授の解説によると、「K大学に在籍していた日本を代表する著名な経営学者の研究をビジネス雑誌で持ち上げて気に入られ、そのご縁で教職に就かれたということです」とのことだ。はっきり言えば、コネでキャリアを得たのである。そんな御仁が書く「論文」を、学術的に信用していいのだろうか?
さらに別の大学教授に、コネで教職に就くことができるのかと質問をしたら、こんな説明をしてくれた。「O氏のケースは知りませんが、一般論として、大学教員は公募で採用しますが、これは建前で、実際には事前に内々定していて、公平さを装うために公募しているケースが大半です。第三者が査定する論文も『ピアレビュー』といいまして、仲間内による評価ですので、学会の重鎮に気に入られれば、論文審査はするりと合格するケースもあります」
企業経営と学会の風習との隙間を突き、世間をうまく泳いで渡る――。したたかであることは事実であり、むしろ御仁が書く「キャリア開発」の「名論文」こそ読んでみたいものだ。
●中村元社長の、お気に入りコンサル
日本では謎の米国系コンサルタントであり、パナソニックのヨイショ本などの著書があり、経営内部に食い込んでいるようなイメージはある。
パナソニックの元取締役は「F氏は中村邦夫氏が米国松下電器のトップの頃に気に入られて以来、パナソニックの経営に入り込んできたコンサルタントです。この人も勉強会の講師として呼ばれていましたが、私には勉強になる話はひとつもなかった。特に斬新な考えがあるわけではなく、中村氏のお気に入りの一人です。今年の株主総会の5 日前、会社の将来が危ぶまれている時に、ヨイショ本が出ました。パナソニックがよく経営戦略で『環境』という言葉を使うのも、このコンサルタントの指導だと思いますが、どの企業も使っており、斬新さがなく差別化も感じられません。パナソニックの思考停止を象徴しています」と説明する。
経営が厳しくなるのは、こうした「シロアリ」にたかられる企業体質も影響しているのだろう。
(文=編集部)