偽医師初公判、被告が起訴事実認める−検察、「収入安定させるため経歴詐称」

偽医師初公判、被告が起訴事実認める−検察、「収入安定させるため経歴詐称」
医療介護CBニュース 2012年11月30日(金)18時44分配信

 医師免許を持たずに健康診断などの診療行為を行っていたとして、医師法違反(無資格医業)や詐欺などに問われた東京都世田谷区中町、無職、黒木雅被告(43)の初公判が30日、東京地裁(大善文男裁判長)であり、黒木被告は「間違いありません」と起訴事実を認めた。

 起訴状などによると、黒木被告は医師免許を偽造し、2010年から11年にかけて医療系の人材紹介会社に虚偽の情報を登録。医師の資格がないにもかかわらず、東京都板橋区内の病院で非常勤医師として勤務し、健康診断の問診などの医療行為を行ったほか、給与計約270万円をだまし取ったとされる。

 検察側は、冒頭陳述で、黒木被告が偽医師になった経緯を詳述。学習塾の講師をしながら東京都内の柔道整復師の専門学校で学んでいた黒木被告は、資格取得に失敗したことから、収入を安定させるため、大学の医学部看護学科を卒業したと経歴を詐称し、看護師を養成する専門学校の講師として就職。さらに医師の求人を見て、インターネットで医師を対象にしたアルバイトサイトに登録したことを明らかにした。

 黒木被告が実在する医師名をかたったことについては、検察側は冒頭陳述の中で、被告が厚生労働省が公開している医師検索システムを利用して、実在する医師名を確認した上で、この医師の経歴をインターネットで調べ、この経歴とこれまで自分が詐称していた経歴を合わせて、人材紹介会社に登録したと指摘。人材紹介会社に提出した医師免許の写しは、「インターネットで医師免許の画像を探して加工し、自作した」と述べた。

 また検察側は証拠調べで、黒木被告の担当した患者の中で白内障が進行したケースがあったことを指摘し、黒木被告に対する患者の処罰感情が強いことを明らかにした。このほか、検察側は、来月中に黒木被告に対する追起訴を行う方針を裁判所と弁護側に伝えた。【編集部取材班】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする