(朝鮮日報日本語版) セクハラなど教師の懲戒審査、4年間で33%増
朝鮮日報日本語版 2012年12月5日(水)12時37分配信
2007年にある中学校に赴任した教頭は、ある女性教諭の上着のポケットがゆがんでいるのを見て「夫が胸を触ったのか」と声をかけた。また別の女性教諭に対して年齢を尋ね、女性教諭が「40歳」と答えると「女で40といえば、女盛りの年じゃないか。君がそうだというのではなく、精神的に。いろいろと、ものごとをちょっと知っているという意味で」と言った。
この教頭は、普段から教師たちを、主に「おい」「君」と呼んでいた。生徒たちの前でも、教師に敬語を使わなかった。その場にいない教師を捜すとき「おい、彼女はどこにいった」「あの野郎」と言うこともあった。会食の席で、パク教諭とイ教諭という2人の女性教諭に対し「君(パク教諭)は胸がはちきれそうだが、君(イ教諭)はそうでもないな」と言ったこともあると、教師らは教育庁(教育委員会に相当)の調査で証言した。
教師らは、この教頭の人格卑下・セクハラ発言に耐えられず、教育庁に陳情を行った。教育庁は、事実関係を調査した上で、教頭を解任した。これに対し教頭は「懲戒が厳しすぎる」として教育科学技術部(省に相当)傘下の教員訴請審査委員会(以下、訴請委)に再審を要請した。教頭は再審請求書の中で、上着のポケットがゆがんでいた女性教諭の胸に関する発言について「きちんとした服装をするよう注意したのであって、ややユーモラスに言ったのだが度が過ぎた」と釈明した。訴請委は「一部について懲戒事由が不明確であったり、懲戒の時効が過ぎたりしている」として、懲戒内容を停職3カ月に下方修正した。
訴請委は、この教頭の事例などを含む「2011年度訴請審査決定文事例集」を先月末に発行し、ホームページで公開した。訴請委は、懲戒を受けた教員が再審を請求する機関だ。教師らは「この教頭のケースはやや極端だが、学校現場で女性教諭が多数を占めるようになり、女性教諭に対するセクハラの問題も増えている」と語った。教育界の関係者は「ほとんどの教師は、教壇で生徒たちを熱心に教えている。問題なのは一部の教師」と語った。訴請委の審査件数は、02年が約200件、05年が約250件、08年が約300件、今年は388件と増加傾向を示している。この4年で33%増えたわけだ。今年、韓国各地の小・中・高校の教員42万4392人のうち女性の割合は64.9%(27万5922人)に達している。とりわけ小学校は、女性教諭の割合が76.2%と高い。
事例集によると、ある私立高校の教師は、3年生の女子生徒に対し、1・2年生のときに比べ成績が約30点上がったといって頬にキスをした。また、女子生徒の尻に触れ「どこにキスしてやろうか」と言いながら唇や頬をなでた。この教師は、生徒の制服の上着が緩んでいるのを直した際、胸に触れたこともあった。教師のセクハラ行為は、スクールカウンセラーと生徒との対話の中で発覚した。問題の教師は訴請委に「停職3カ月の懲戒は厳しすぎる」として懲戒の取り消しを求めたが、訴請委は教師の請求を棄却した。
また、ある中学校の教師は昨年、義理の妹の名義で居酒屋を経営し、青少年に酒を売った罪で裁判所から罰金50万ウォン(現在のレートで約3万7800円)の刑を言い渡され、教育庁からけん責処分を受けた。この教師は「従業員が(青少年の)身分証を確認したと思った」と訴請委に処分取り消しを訴えたが、棄却された。