(朝鮮日報日本語版) 幹細胞:ソウル大女性教授が論文捏造

(朝鮮日報日本語版) 幹細胞:ソウル大女性教授が論文捏造
朝鮮日報日本語版 2012年12月5日(水)13時54分配信

 ソウル大学は、について「姜教授が14本全てを自ら捏造(偽造・変造)したことを最終的に確認した」と4日に発表した。姜教授は2005年、が浮上した際、真相究明を訴えた若手教授の一人で、黄氏のライバルだった康景宣(カン・ギョンソン)教授(49)に近い。

 調査の結果、姜秀庚教授は10年にがん専門誌『国際がんジャーナル』に投稿後、写真の捏造が発覚した論文にデータを加え、新たな論文のように見せ掛けて学術誌に提出していたことが分かった。姜教授は当時「単純なミス」と釈明して論文を取り下げ、大学内の調査委員会から「警告」処分を受けた。また、写真を不正に流用していたことも明らかになった。

 姜教授は大学側の調査中も、捏造の責任を研究員や大学院生に転嫁したり、虚偽の説明資料を提出したりと、調査を意図的に妨害していたという。事情を聴かれた研究員や大学院生に対し「どうしてそんな風に(私に不利になるように)話したのか」などと脅迫まがいのメールを送っていたことも把握された。ソウル大は、問題となった姜秀庚教授の論文の一部に共同著者として名を連ねた康景宣教授の論文捏造疑惑についても、近く調査結果を発表する予定だ。

 今回の論文捏造が発覚したきっかけは、5月初めに複数の学術誌に寄せられた匿名の情報提供だった。論文の撤回を取り上げるブログ「リトラクション・ウオッチ」やポステク(旧浦項工大)生物学研究情報センター(BRIC)のインターネット掲示板などによると、この情報提供者は姜教授が論文を掲載した10の学術誌に70ページのパワーポイントファイルを送り、同教授が14本の論文に使った実験結果の写真を比較しながら、同じ写真を重複して使用したと主張した。
 情報提供を受けた各誌は姜教授に説明を求め、このうち米国の国際学術誌『坑酸化および酸化還元信号伝達(ARS)』は同氏の論文を撤回した。姜教授はこのとき「データに誤りはあったが、わざとやったことではない。追加実験を踏まえてデータを提出する」と釈明していた。また、論文捏造疑惑を提起した情報提供者を名誉棄損で告訴し「ソウル大獣医学部の黄禹錫支持者たちに仕組まれた」などと主張した。

 ソウル大の関係者は「調査中に釈明を聞いたが納得できなかった」と話している。姜教授は「ミス」だったことを強調したとされるが、調査を受けた研究員や大学院生に脅迫まがいのメールを送ったことが明らかになり、調査担当者たちの信頼を失ったとのことだ。

 大学側は姜教授の論文捏造を「深刻かつ重大な問題」と受け止め、懲戒委員会で処分を検討する方針だ。大学関係者は「捏造の故意性や態度からすると、重い懲戒は免れないだろう」と話している。

 一方、ソウル大のある教授は「今回の事態は獣医学界の派閥争いや行き過ぎた実績競争が招いたもの。(教授たちは)完成度が7割ほどの論文も発表している」と打ち明けた。

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